原案帳#20(since 1973-) by会津里花
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2010年08月19日(木) 田中宇の国際ニュース解説(3)

これで最後。

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 米国が、いったん中国に対して認めた南シナ海や台湾に対する影響力の拡大を、あとになって反故にするような敵対的なことを言い出すので、中国の中枢では、特に人民解放軍の幹部が米国に対して怒りを強めている。

 1948年の中国白書、50年の朝鮮戦争、72年のニクソン訪中など、米中枢の軍産複合体と多極派との暗闘によって米国の対中政策が激変し続けるのを見てきた中国共産党の中枢は、米国の気まぐれや引っかけに慣れており、大して驚かない。だが、台湾や東シナ海などで米国の台中包囲網が解かれて軍事的フリーハンドを得たと喜んでいた中国軍の現場幹部としては、米国がやっぱり対中包囲網は解きませんと言い出すと、当然ながら怒りを扇動される。米国は「米中は対等です」と言って米中G2を提案したのに、米国が中国を対等に扱わないので、中国軍幹部は面子を潰されて怒っている。

http://www.china.org.cn/world/2010-07/29/content_20595444.htm
Time not ripe to restart China-US military exchanges

 そして中国軍部は、米国の再強化しようとする対中包囲網が口だけの張り子の虎であることを発見し、党中央に対し「米国の傲慢なやり方を泰然と容認するのではなく、米国を第1列島線の東側に出て行かせるような毅然とした態度をとるべきだ」と突き上げた。5月24日に北京で行われた米中戦略対話では、米側の高官ら65人を前に、関友飛という海軍准将が、米国から台湾への兵器売却を強く非難する予定外の演説を3分間にわたって展開し、米国に対する中国軍内の怒りをぶちまけた。中共は「うちの軍人は怒ってますよ」と米国に警告を発したのだった。

http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2010/06/10/2003475134
PLA admirals speech raises questions in the US

 解放軍は中共の党傘下の軍隊であるが、党中央は軍の意見に引っ張られる傾向になっている。実際に、中国政府が毅然とした態度をとるだけで、米空母は黄海に入らず、米国から台湾への武器売却も見送られた。こうなると、トウ小平の遺言「24文字教訓」を守って米国の挑発に見ないふりをして頭を低くしている必要はないという話になってくる。このように中国が外交軍事面で自信をつけ、米国を特別視しなくなることこそ、米国の隠れ多極主義者たちが以前から狙ってきた「中国の覇権への引っぱり出し」の策略であると見える。



この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/100802china.htm


★音声訳
http://www.voice-news.net/



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◆やはり世界は多極化する
http://tanakanews.com/100726world.php
【2010年7月26日】 影の銀行システムは米経済の隠れた大黒柱であり、その規模は伝統的銀行システムの1・5倍の16兆ドルで、米国GDPの14兆ドルより大きい。影のシステムの再活性化が不発に終わった場合、リーマンショックより大きな金融崩壊が再来する。数年前まで米国の繁栄と覇権を支える秘密の錬金術だった影の銀行システムは、今や、米国の致命的な構造欠陥と化している。こんな構造欠陥を抱える国の通貨を、基軸通貨にし続けられないと国際社会は考え、ドル延命機関だったG7に代わる国際機関として、ドル安楽死のためのG20が作られた。やはり今後2−3年以内に、米経済の崩壊と、世界覇権の多極化が起きる可能性が高いと、私には思われる。

◆影の銀行システムの行方
http://tanakanews.com/10090719banks.php
【2010年7月19日】 影の銀行システムは、ジャンクの価値しかない債権にお手盛りでトリプルA格をつけて売る詐欺商法であり、そんなものが銀行融資総額より巨額の残高を持っていることは、確かに不健全である。しかし、オバマ政権が影のシステムを潰すことは、米国の経済的な自滅を意味する。影のシステムが再び壊れて米金融市場が再崩壊すると、次はドルや米国債に対する国際信頼が揺らぐ。ボルカーら米当局者が影のシステムに対する規制を強化すると、米経済は失速する。失速が起きるかどうかは、今秋に見えてくる。失速は不可避だと言う人がすでに多い。

◆インドとパキスタンを仲裁する中国
http://tanakanews.com/100715china.php
【2010年7月15日】 カルザイはタリバンに政権転覆され亡命して終わるかもしれないが、そのころには、アフガンの国権はパキスタンと、その背後にいる中国の手中に落ち、タリバン・パキスタン・中国が、中国と仲の良いロシアやイランの協力も得ながらアフガン統治をしていくことになる。米国は何千億ドルもアフガン占領につぎ込んだのに、嫌われ者になって出ていくだけだ(イラクがすでにこの構図だ)。この大転換を目の当たりにしたインドが、対米従属をやめてパキスタンや中国との和解を考えるのは当然だ。


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