「抱かれれば蝶の様に煌めくのに。」

あのひとの笑顔を思い出した。
眼が好きだった。
私好みの鋭い眼。
私の事を1番理解してくれたひとだと思う。
何もかもが一致していた。
手が触れるだけで感じた。
神様は私達が一緒になる事を禁止したけれど。
もう2度と。
あんな風にひとを好きにはなれない。

彼の手を思い出した。
長い指が好きだった。
彫刻みたいに綺麗な手。
其の手で私を愛撫した。
優しい眼差しで。
日溜まりみたいな感覚も好きだった。
何時の間にか無くてはならない存在になった。
だけど彼にとっては違ったみたい。
あの眼差しは。
嘘だったのだろうか。
現在となっては解らない。

奴の背中を思い出した。
大きな大きな背中。
其の背中に甘えると。
子供になったみたいで。
安心感と。
孤独感が入り混じる。
力強い腕で抱き寄せられると。
本当に自分が小さくなったみたいで。
此の侭熔けてしまいたいと思う。
一体化したい。
奴の苦しみを感じたい。
同時に私の苦しみも感じて欲しい。
そして一緒に笑い合いたい。
大切にしたい。
大切にして欲しい。
其れが全て。

私は寂しがり屋だから。
何かを求めてばかりいたような気がする。
もっと丁寧に生きなきゃね。
焦らず。
ゆっくり。
2005年08月21日(日)

かつて・・。 / 桃色少女

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