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「東京で諦める事に上手になってた筈なのに ちょっとだけちょっとだけ期待しちゃったんだよな。」
普段なら 家の中で聞いている雨の音は心地良くて好きな筈なのに 今日は 折角の休日なのに 頭まで布団を被って泣いている私を 馬鹿にしている様で ちっとも心地良くなんかなかった。
ゆっくりと起き上がって 冷蔵庫の奥から 黒い紙製の箱を取り出した。 中には職場で売ってる 1粒¥300のチョコレートが入ってる。 其れを次々と口に放り込んで 室井佑月の小説『Piss』を読んだ。 もう何度となく読み返した本。 ブスで馬鹿で孤独で でも現実から逃げ出す事も出来ず ひとを信じる事を恐れていて でも信じる事以外に方法を知らなくて 諦めたつもりでも 未だ誰から愛される事 必要とされる事を願っている主人公は 私にそっくりだと思う。 恋人の精子を躊躇無く飲み込むところも似ている。 そうすれば 恋人も悦んでくれるし 自分の気持ちも伝わると思っている。 頭が悪いんだ。 そっくりだから 言葉のひとつひとつがすごく理解出来るから 私は此の小説が好き。
今日は父も母も仕事が休みだ。 部屋にずっと居ても気配で解る。 沖縄に移住して出産した従姉が 来週里帰りするらしい。 「貴女もどう??一緒に見に行かない??赤ちゃん。」 私は無言で頷いた。
暖かい家が在る。 家族が居る。 みんなそれなりに歳をとって 疲れてはいるけれど 笑っている。 何て優しいのだろう。 何て優しい現実なのだろう。 此の確かな事実が 余りにも優し過ぎて 暖か過ぎて 私はまた 泣いてしまったんだ。
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2005年09月24日(土)
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