帰宅して夕飯を終えて。
抱えているメル友に気の乗らない返事を出して。 お友達と長い時間MSNで話していた。
話終わってから、なにげなく携帯を見ると、メールが一件。 ああ、またか…。
そう思って、受信ボックスを開く。
え?何?
久々に見る彼の名前。 sub:いろいろとごめんなさい。
音信不通を謝る言葉と、その間何があったかを短く書いたメールだった。
涙が溢れて来て、文字が読めない。
ああ、なぜあたしは、こんなにも好きなんだろう。
逢いたくて、逢えなくて、彼が元気でいるのか、病んでいるのかさえもわからなくて。 どうにかして、消息を知りたくて。 でもどうすることもどうしようもできなくて。 心配で心配で心配で。
ずっと、そんな感情から目を背けていた。 忘れようと。忘れたふりをしていた。
たった一通のメールで、号泣するあたしがここにいる。
たぶん返事は来ないだろうと、そう思いながら、メールを送る。 しばらくして、着信音が鳴った。
「おかげさまで無事暮らしています。」
「電話できる?ダメですか?」
そう送ったけど、返事がなかった。
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しばらく、携帯を手に持って、何をするともなく、うろうろと部屋の中を歩く。 どうしよう。電話かけようか?ダメなんだろうか…。
持っていた携帯が突然震える。
ディスプレイに彼の名前が表示された。
「もしもし。」
「はぁい、今晩ワ。お久しぶりです。」
「ほんとお久しぶりだよぉ。すんごい心配したんだから!」
ひょうひょうとした声は相変らず。 話口調も相変らず。 どうしてたの?大変だったの?体調はどう?聞きたい事はたくさんある。 でも、何から話していいのか、わからない。
「あのね。あたしね、ほんと思ったの。もうなんでもいい。すんごい好きなんだと思う。」
「ははは。そうか。それはありがたい。」
…バカ。心配したんだから。
「色々あって色々考えたんだよ。」
「そなの?…色々考えて、もうあたしとは逢えないのかな?」
「ん?そんなつもりはありませんが。 そうだな、1ヶ月か2ヶ月後くらいには、時間取りたいねぇ。」
…バカ。 …masayaのバカ。
もうね、ほんとなんでもいいから。 どこで生きてるかだけ、わかるようにしてください。
電話を切った後に、表示された通話時間は23分28秒。 いろんなことがあって、逢えなくなって。 たった23分28秒だけど、声が聞けたことが嬉しかった。
あたしの中に、またひとつmasayaとの出来事が増える。 1年に1つだけでもいい。 ずっとずっと、増え続ければいい。 1通のメール。数分の会話。
逢いたくて逢いたくて、電話を切ってからしばらく、
泣いた。
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