アイ ナンカ イラナイ。
夏野 空の日記

2011年02月06日(日) 桜の花の舞い散る頃

某日夜遅く。
彼女が私の携帯を鳴らした。

久しぶりの彼女は何故だか泣いているような
そして途切れ途切れに消え入りそうな声で呼びかけてくる。

繋がっているのか
繋がっていないのか。
もう切れそうなのか
既に切れているのか。

思い切り大きな声で呼びかけてみたら、
迷子の子供のような返事が返ってきた。

消えてしまいそうな声の向こう側からは、
絶え間なく喧騒がこぼれてくる。

あの街なのだ。
あそこにいるのだ。
あの駅の近くの、きっとあの場所に立ち尽くしているに違い無いのだ。

彼女と話しているのか、喧騒と話しているのか、
ぽつりぽつりと、話すことがあるワケではないのだけれど
幾つかの言葉をやりとりした。
が、彼女と私との間に必要なのは、もはや言葉ではなくなっている。

それは幸なのか。
果たして不幸ではないのか。


いつかの昔。
前が見えないほど真っ白に降りしきる桜吹雪の中、
揺れるように歩いたのを思い出した。

あの時の、あれは何故だったのか。

記憶しているということは幸なのか。
忘れてしまった方が幸なのではないのか。



花見をしよう。
春がきたら花見をしよう。
桜の花が散りはじめたら。
桜吹雪に塗れながら、あの橋を渡って桜を見に行こう。

 
   



〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜
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麗香@夏野空 [MAIL] [MILK PITCHER]
 
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