うさうさとの想い出。
兄弟のなかでたった一匹の黒ウサギだったこと。 胸に、月の輪ぐまみたいな白い模様があったこと。 「白くなったら鍋にしちゃうぞ」と約束して、 あの、青空ばかりが見える部屋でいっしょに暮らしたこと。 昼寝をしてた私の髪をかじってそこだけ短くなっちゃったこと。 脱走して壁に穴を開けちゃったこと。 ケータイに嫉妬しておもいきり歯形をつけたこと。 おでこにするキス。 私の鼻にくれるキス。 怒るとぶうぶうと鼻を鳴らす。 犬も猫も恐れない。
あんなこと、こんなこと。 たくさんのことがあって、 うさうさは、いつも私を待っていてくれた気がする。 引越しをして、新しい生活がはじまって、 あのぽっかりと青空を見ていた毎日が、 今はとても遠く感じる。 夢のように感じる。
それでも、 そのときがあったから今がある。 うさうさがいてくれたから、 今の私がある。
うさうさ、ありがとう。 もうあえないけれど、 ありがとう。
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