「小碓命を殺すことはわたしには何より大切なの。自分自身より大切なの。毎夜くりかえし考えるの――目先の何かにばぎれてしまわないように。彼を倒してはじめて、きっとわたしはわたしにもどるのよ。小倶那をとりもどして……」(略)「いったい小倶那ってだれだい?(略)好きな人なのかい」「ちがう……」(略)「好きな人のことは好きだとお言い。びっくりするほど気もちが楽になるよ」荻原規子:白鳥異伝(上),p.270-271,徳間書店.