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■ パリの週末
ルクセンブルクにいる妹ちゃんが、週末、パリに小旅行に出たという。
メイルに添付された画像には、懐かしいルーブル美術館のピラミッド型 ゲートや、「ひとくち食べてめろめろになった」というジャン・ポール・ エヴァンのチョコレートケーキの写真などがコラージュされていた。
黒い帽子をかぶった彼女が、何かを云おうとして振り返った顔。 おそらくは一緒に行った恋人くんか、弟のリョウくんが撮ったものだろう。 親しいひとだけに見せる無邪気な笑顔に、私の肩もふっと力が抜ける。 メイルの文面も、心躍る様子が連綿と綴られていて、「幸福」という二文字が あちらこちらに散りばめられていた。画像のタイトルは"Weekend in Paris"
去年の今頃は、私もパリにいたなと、懐かしく思い出す。 たった一年なのに、私の周囲はガラリと変化してしまい、ヨーロッパの石畳は、 今の私にとって、遥かなる憧れでしかない。それでも、セーヌ川沿いの道端 で売られていた焼き栗の香ばしい匂いや、サン・ラザーロ駅近くで見た夕焼け は、身体の細胞がちゃんと記憶しているから、可笑しい。
そもそも「週末」という言葉だけでも甘やかな響きがあるのに、「パリ」なんて 魅惑的な都市が結び付けられたら、もう気がおかしくなっちゃいそうだ。 ついでに「恋人たち」なんて付加したら、もうパーフェクトだ。肩を寄せ合う 恋人たちを、モノトーンのフィルムで撮った写真みたいな、定型文。
憧れもするし、羨みもするけれど、今の私はここが現実。 そして喜ばしいことに、この現実の場で、身体の奥底からエネルギーが ふつふつと湧き出るようなパワーを感じた、この週末。東京という街と、 冬の温度と、孤独になれたことが、今の私を奮い立たせてくれている。 自分を信じたくなるときは、いつだって、偶然が複雑に重なり合う瞬間だ。
花屋「三匹のねこ」の看板犬。この花屋はパリの花屋によく似ている。
2004年02月08日(日)
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