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■ Windy Days
早起きして仕事場にゆき、珈琲片手にベランダに出た。 風の強い日に空を見るのは、もう習慣になってしまっている。 昨晩の雨風で塵や埃が洗い流され、クリアな青い空には、雲の大群が泳いでいた。
「風、すごかったですね。台風みたいにゴーゴーいって」 教材データの打ち込みに来ていた同僚が、隣に並んで眩しそうに目を細めた。 「うちなんて、犬小屋の屋根が吹き飛ばされましたもん」 にこにこ笑ってそう云う彼女に、「犬くんたちは大丈夫だったの?」と訊くと、 「はい。屋根のない犬小屋で、シッポ振って出迎えてくれました」だって。
昨晩は、さぞ心細かったでしょうに。あの轟音だもの、と同情する。 もちろん、勇敢な犬くんたちに。囲いがないというのは、とても不安なことだ。 自分を守るものがない、という不安。ちょっと居たたまれない。
強風もおさまってきた夕方、黒い空にオレンジ色の光がまたたく。 一番星かと思って外に出ると、ベランダで煙草を吸っていた弟くんがいた。
「あれさぁ、金星かな、それとも、火星かな?」と、はしゃいで云ったら 「ヘリコプターだよ。ほら、移動してるじゃん」と冷たく言い放たれた。 それでも「火星だよー」と言い張っていたら、オレンジ色の光はどんどん 近づいてきて、頭上をあっけなく通過していった。
しょぼくれて光を見上げていたら、「低速移動の流れ星だよ」と云ってくれた 弟くん。コイツも金曜にはドイツへ出国だ。ベランダの夜風は、まだまだ冷たく 思わずストールを身体にきつく巻きつける。夜間飛行のジェット機も、やはり 流星に似ているのだろうか。オレンジ色の光が消えた空の下で、ふと、そう思った。
2004年02月23日(月)
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