|
|
■■■
■■
■ ナチュラル・クロック
毎朝、決まった時間に子どもたちの声で起こされる。 それはもう、ひよこたちが「ピーチクパーチク」啼いているような声。 その甲高さが、私を、眠りの底から、いつ何時でも容赦なく引きずり出す。
明け方近くまで仕事をしていたときなど、定刻にマンション階下で騒がれると 「お願いだから、もうちょっと眠らせてー」と叫び、布団をかぶりたくなる。 子どもの声は、なんだってあんなによく響くのだろう。
今朝は午前の早い時間に約束が入っていたので、私の方が早起きした。 ベランダで洗濯物を干していると、来た、来た。キャッキャッと高い 子どもたちの声が、どんどん近づいてくる。そして、通り過ぎたかと 思ったら、それは真下で止まった。
「キャー、こわーい」とか「ふかーい」とか、声が聞こえる。 身を乗り出して見ると、子どもたちがへっぴり腰で、マンション下の暗渠を 覗き込んでいた。鉄骨がむき出しになって、地下一階分、スカスカに見下ろ せるのだ。あんなちっこい子どもたちには、奈落の底に見えるだろう。
不意にひとりが顔をあげ、「あっ、人がいるよ」と私を指差す。 騒々しいひよっこたちを撮影しようとカメラを構えた瞬間だった。 子どもたちは次々に「あっ、あっ」と私を見上げる。なんだかこっちが 気恥ずかしくなって、ベランダ越しに軽く手を振った。
「いつも騒がしくてすみませーん」若い保母さんが叫ぶ。 内心「まったくだよ」と思いつつも、笑顔で「いえいえ」と応えた私は、 まんざら子ども嫌いでもないらしい。
通り沿いの保育園の元気な園児たち。朝日に向ってゴー!なのです。
2004年03月11日(木)
|
|
|