218 坂本龍馬暗殺の謎 |
先日テレビで俺の興味を猛烈に引くものがやっていた。「なりあがり」?だったかな?とか言う番組で、芸人が教授やら学者やらにある仮説をたててプレゼンテーションをし、おもしろいと思われるものには研究費として一人につき1万円もらえるというものだ。そこでTAKE2の東が出した仮説が 「坂本龍馬は親友に暗殺された」 というものだった。 なるほど。これはおもしろい。詳細を調べてみればありえないことがわかっちゃうのかもしれないけど、調べてみる価値はあると思える。 仮説はこうだ。現在の警察の犯人探しの前提に「まずは第一発見者をあやしめ」というものがある。これと照らしあせてみると、第一犯人である親友の中岡慎太郎があやしいという。しかし知ってる人も多いと思うけど、中岡慎太郎は深手をおって2日後には死んでしまう。 では何があったのか。通説では誰がやったかはわからなくても、少なくとも外部の人間であるということは間違いない。となると近江屋の2階の1番奥にいた龍馬と中岡を殺すには店に入ってから距離がある。当時狙われる身にあった龍馬と中岡は、当然周りに神経をとがらせ、身を守るために緊張感を高めていた。そんな二人が不意打ちを受けるが如く、突入してきた敵に気づかないわけはないという。ましてや龍馬は剣の達人。そう易々と斬られる人物ではない。となると、一撃で致命傷を与えられる人間は、正面に座っていた気心の知れた中岡でしかありえないのではないか?というのだ。 龍馬の暗殺現場には、新撰組がやったと見せかけるためか、下駄と鞘が残されている。これは逆に不自然だと言う。暗殺など殺しにかけてはプロの集団が、そんな不手際をするはずがない。確かにそうだ。 動機もしっかりしている。このころの龍馬は、大政奉還を成し遂げた張本人であり、武力を使うことなく幕府から権力をなくした。一方中岡は、薩摩・長州とともに武力で幕府を倒そうとしていた。大政奉還が成功してしまい、中岡ら武力派は拳を下ろす場がなくなってしまった。龍馬は目の上のたんこぶだったのだ。 と、ここまでが仮説。さて、これは実際検証してみるとどうなのだろう。ある程度はあるがある程度しかない知識をもって考えてみよう。 まず、この現場で殺されたのは彼ら二人だけではない。藤吉という元相撲取りのお仕えが1階で殺されている。本来なら、取り次いだ藤吉が龍馬を呼ぼうとしたところを後ろから斬られたと捉えられるわけだけど、仮説の場合を考えると、邪魔が入ってこないようにあらかじめ下の階にいって殺してから、また上に戻ってきたと考えられる。できないことじゃない。 次の問題は、近江屋の主人・新助とその家族が1階にいたということ。彼らは殺されずにすんだが、ことが終わるまで1階でおとなしくしていて、騒ぎがすんだら土佐藩邸にことを知らせにいった。おそらく顔も見てるであろう彼らはどうなるのか。強引だけど考えられるとしたら、彼らも共犯者。もしくは金を与えて口封じをしたか。顔を見たであろう新助の証言がどのようなものであったかわからないけど、人物を特定できない時点で新助を怪しんでもおかしくはない。 ただ、残念ながらこれらの問題が解決できたとしても、最後に大きな問題が残る。それは中岡慎太郎が2日後に死ぬほどの重症を、龍馬がおわせられるだろうか?また、おわせられたとして、おわせるだるか?ということだ。それは致命傷をうけて死んでしまう龍馬の体力的にということもあるけど、それ以前に親友にそんなことをしないだろうという願望をこめた予測だ。中岡慎太郎は体中に数十箇所の傷を受けている。瀕死の龍馬にそこまでの余力は残っていないだろうと思う。そして龍馬にとっては憎むべき相手ではない友に対して、そんなことはできないだろうと思う。 たぶんこの仮説は歴史的資料をもとに却下されてしまうと思う。これまでに数ある歴史家たちが挑戦してきた難題なわけで、こんな仮説もあって、それはありえないという結論がでたんだと思う。でも、こういう仮説をたてて考えてみることは面白いと思う。 坂本龍馬は32歳の誕生日に殺された。誰が殺したのかはわかっていない。このヒーローならではの最後があるからこそ、龍馬は本物のヒーローなんだと思う。だから、誰が殺したのか知りたい反面、謎であり続けてほしいとも思う。
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2005年04月24日(日)
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