蜜白玉のひとりごと
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焼き肉が消化不良なんだよね。といっても、食べた肉がお腹で消化不良を起こしているわけではない。およそ半月前、お盆休みのど真ん中に夫の実家に帰省したとき、姪たちと行った焼き肉がどうも不完全燃焼だったようなのだ。あの日から焼き肉がチラチラと頭のすみをよぎる。
夫の妹とその旦那さん、姪っ子、義理のお母さんと私たち夫婦の6人で、彼女たちがいつも行くという焼肉屋さんに連れて行ってもらった。予約していったら、人気店らしく6時を回ればあっという間に満席。のんびりメニューを見ている暇もなく、かろうじてタン塩をお願いして、あとは店員さんとお客さんの熱気に飲まれた。
テーブルの中央にはおそろしく小ぶりな焼き網が埋め込まれており、そこに6人分の肉がびっしりと敷き詰められては焼かれていく。視線を上げれば、目の前では姪っ子が大盛りご飯にユッケをのせて、口いっぱいに頬張っている。つい半年前に会ったときはまだ食が細かったはずなのに、思春期の女子は想像を超えて変貌するものだ。肉のおかわりの他、石焼ビビンバやスープやキムチ、さらには焼き肉定食(!)まで注文する。焼き肉しながらの焼き肉定食には驚いた。おそるべし、焼き肉の二重構造。この焼き肉合戦には本当に終わりが来るのかといぶかしく思いながら、その量とスピードに圧倒されっぱなしだった。
遠慮すると場がシラけるから遠慮しているそぶりは見せず、それでもやっぱりどこかで気を遣いながら、ホルモン(食べられない)以外の肉をパッと小皿に取る。生焼けだったり焦げていたり、まったくペースがつかめない。誰もお酒を飲まないからビールの「ビ」の字が出ることもなく、おとなしくウーロン茶と白いご飯でお肉をいただいた。だめだ、調子が出ない。焼き肉はもっと、前のめりに食べるものだ。
おいしかったはずなのに、と昨日の夜また思い出しながら夫に訴えると、それは自分たちの焼き肉ができなかったってことだね、と断言された。自分たちの焼き肉、どこかで聞いたようなセリフだ。自分たちのサッカーができなかった。そう、それそれ。
自分たちの焼き肉。そんなものがあれば、の話だけれど、確かに夫と二人で行くいつもの焼き肉のようにはふるまえなかった。我が家がよく利用する吉祥寺のGとはお店の勝手が違ったからかもしれない、と返せば、でもこの前はじめて行ったRでも大丈夫だったじゃない?と言われ、そうだったと思いなおす。自分たちの焼き肉とは何なのかをよく考え、今度こそ自分たちの焼き肉を発揮するべく、週末は焼き肉へ行くぞ。
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