日々逍遙―この1冊、この1本、この1枚―
1冊の本、絵本、1本の映画、舞台、(ワインやお酒)、1枚の絵、CD。
散歩の途中に出会ったあれこれを…。

2002年03月04日(月) 「惜別」(朝日新聞3/4夕刊)

1月から2月にかけて子どもの本にかかわる人々の訃報が相次いでありました。
今日の朝日新聞名古屋版の夕刊の「惜別」にとりあげられていた、アストリッド・リンドグレーンさん(1月28日死去94歳)、上野瞭さん(1月30日死去73歳)に続いて2月16日にはいぬいとみこさんが77歳で、2月19日に1938年生まれのヴァージニア・ハミルトンさんが亡くなっています。
別れの時がやってくると、改めて、その人が生きてきた軌跡をたどったりしてその人生の重みを感じます。
今日の夕刊の「惜別」ではリンドグレーンさん、上野瞭さんと共に2月5日に89歳で亡くなった彫刻家の舟越保武さんも紹介されています。
舟越さんはすえもりブックスの末盛千枝子さんや、須賀敦子さんの本の装丁で使われている彫刻作品で知られる舟越桂さんのお父さんでもあるのですね。
「日々逍遙」の2002年2月21日の『巨岩と花びら』でご紹介した通り、この本は70代に入った時に「老い先短い」と感じはじめた頃それまでの数々の出会いを振り返ったものでした。
生前その仕事や人となりを深く知ることもなかったのですが、新聞にも紹介のあった東京芸大退官の時の学生たちから贈られた「卒業証書」にあるように鷹揚に学生たちを見守ったその根っこのところには、制作に励む学生の姿を美しいと感じる心持ちがあったのです。
そうして見守られた者たち一人一人の中で息づく舟越さんがきっといらっしゃるのでしょう。
リンドグレーンさんへの献花のエピソードやずっと彼女の作品に挿し絵を描いてきたヴィークランドさんが捧げた絵(登場人物たちが閉じられた本を囲んでうなだれている)に託した思いをみても同じようなことを感じます。
つながり生きながらえていくものを生み出した人たち。

ここに、あらためて、ご冥福をお祈りします。


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みねこ

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