「ねっ、見てよこれ…!!
このタイトルよくない!?」
日暮れ時、訪れた、エクセルシオールで。
隣りの席に、腰掛けた、男の子が云った。
かなり、大声だったため、 本を、読んでいた私は、思わず横を見た。
「この、『ワンナイトラバー』って、自信あるんだけどっ」
「……で、内容は?」
男の子の、発言に、答えたその人は。
ちょっと、幸ちゃんを思わす、 とても、綺麗な顔立ちの、女の子であった。
「だから、一夜の恋をさぁ、女の子がするの。 そういうの、切なくて、ちょっと、憧れない?」
「……男はそうかもね」
「女の子は違う?」
「だって、女の子にとって、メリット薄いでしょ」
「ええ、そうかなあー……」
どうも、男の子のほうは、文学青年(?)で。 恋愛の、小説を、書きたいものらしく。
そして、向かいに座るのは、 学校の、友達か、 または、お付き合いしている、彼女であるらしい。
悪いとは、思いつつ、 読んでいる、本よりも、面白い話に。
思わず耳を、そばだてる、でばがめ子になった…。
「…まぁ、おいといて。
…で、そのほかに… タイトルの候補は?」
「うん。『一夜の恋』でしょー、 それと、○○と〜」
何本か、タイトルの、候補が出されるが。 前の、女の子はどうも、気に入らないらしい。
横の、私も聴きながら、 「…その、上から二番目は、 タイトルが、お話を、説明しすぎかも〜」
胸の中、こっそりと、参加をしてしまう。
ほどなくし、内容の、話になってゆき。
私もさすがにそれ以上、聴くのは悪いので。
持っていた、本を閉じ、立ち上がりかけたが…
「…○○くん」
「?」
「ヒロインの、女の子が、 それじゃ、見えないよ。
…なんか、イメージ先行で、中身が伴わない」
そんな、切れ味スッパリな、言葉を耳にして。
(……か、かっこええ……
……“女・幸ちゃん”だ……!!)
そう思い、女の子に、惚れかけてしまった。
……自分にも、指南をば、して欲しく思った……
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