いらない。


「じゃぁもぉ無理じゃん、」

最初に言ってたのはあたしだったんだって気付いた。


「ホントは病院行ったんだって。それで、」


聞いたとき愕然として、あたしはその言葉を口にした。

あたしの存在が彼をそこまで追い詰めてたんだっておもうと

もうこれ以上、一緒にいられるわけなんかないって

あたしがいること自体が彼を苦しめているなら

ふたりでいる意味なんかないじゃない

おもって、おもわず口から飛び出した。

ものすごい涙と嗚咽に混じって、独り言みたいに。


あたしのできることはただひとつだった。


きっといらないだろう、と

頭のなかでは答えは出ているんだろう、と

そうおもった。

はじめて自分自身が

避け切れない答えに直面したんだ。


だけどあたしは

あたしのできるたったひとつのことをやり遂げられなくて

中途半端に傷つけて傷ついて

言わせてしまった。


なんて愚かなんだろうか。
2006年08月26日(土)

魔法がとけるまで。 / ちぃ。

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