2018年07月12日(木) |
老後の資金がありません 垣谷美雨 |
垣谷美雨 中公文庫 2018
STORY: 定年間近の夫と結婚が決まった娘、就職が決まった息子とともに暮らす篤子は、老後の資金に一千万円以上を貯めていたが、娘の結婚式代、舅の葬儀代の負担がのしかかる。夫もリストラで失業することになって…。
感想: 最近、自分の経済状況もいまいちよくないため、こういうのに興味がある。老後の生活には一千万円以上かかり、それもあっという間に底をついてしまうのかも?
舅と姑は退職金をたくさんもらって、旅行をしたり、至れり尽くせりの施設に入ったため、毎月の出費が多く、篤子夫婦も二人に仕送りをしていた。
夫の妹夫婦は、夫の実家のそばに暮らし、経済的にも豊かではあったが、舅の死に際し、葬儀はすべて篤子の家でやってほしいと言われる。迷いながらも、やはり一般的な葬儀を行わないければ外聞が悪い?とどんどん費用は高くなる。
しかし、蓋を開ければ、あまり会葬者も来なかったため、もっとお金を押さえてもよかったのでは?と思う篤子。
さらに自分の娘の結婚式が派手婚で新婦側も半額を出すということで、300万円の出費。姑が入っている施設の毎月のお金を払わなければならないのに、夫がリストラ…。
どうしてもお金を捻出することができなくなり、姑を自分の家に引き取ることにした篤子。
私的には、ここから先が面白かったかな。姑さんは至れり尽くせりの施設にいたときは、高い食事もお腹がすかないと残したりしていたわけだが、引っ越してきて活動的になると、自分で料理をしたりし出して生き生きしてくる。
こういうのを見ていると、老後が安泰だからと動いたりできるうちに何でもやってくれる施設なんかに入っても面白味のない生活になってしまうのかなぁ?と思ったり。
そして、篤子の友達の姑さんを貸してくれないかという誘いに犯罪の匂いを感じつつも、応じようとする姑。
面白くてお茶目で憎めなくなる。
お金はたくさんあったらあったで生活が安泰かもって思うかもしれないけれど、やはり適度に生活していくだけあれば、あとは工夫次第なのかな? そのほうが生き生きと生活できるのかもしれないなーと思ったりした。
葬儀内容を決めるところは、父の死を思い出した。私は離れていたから決めるのを全部任せてしまったけれど、家族葬だったはずが、結局は一般的な葬儀とあまり大した差がない金額を取られたみたい。
そのうちこんな風な葬式もすたれていくかもしれないなーと思ったり。
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