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■ 半身
探して 探して 探して やっと見つけたんだ。 だから、引き寄せて抱きしめて、その温もりを噛みしめたのに。なのに、腕の中の愛しい存在は、激しく暴れて――拒絶した。 抜け出した腕の中の温もりに、ただ呆然としていると、愛しい存在は遠ざかった。 背を向けて、離れていく存在を、弾かれたように追い駆けて走り出した。 走って 走って 走って 少しずつ縮まる距離に、不安と安堵と歓喜、そして疲れに心臓はバクバクと大きな音を立てて早鐘を打つ。 伸ばした指先が触れた刹那、その存在は更に遠ざかった。 愛しい愛しい存在は、自分とは別の腕の中。しがみつくように自分以外の背に回された腕。守るように自分以外に抱き込まれた顔は、見ることは叶わず、ただ、震えた細い肩だけがまるで終わりを告げているかのようだった。 「ごめん……なさい―――」 (ああ、そうか) 肩よりも細く震えた声に、心の中に諦めと、込み上げる熱い水。 「ごめんなさぃ……」 繰り返される言葉に、想いに亀裂が入る。 (捨てられたんだ) 割れて散らばってしまった想い。理解した瞬間に、涙腺まで壊れてしまったようで、止め止めなく、想いの欠片で傷ついた心が、透明な血を流した。 「さようなら」 今度は自分から背を向けた。 逃げて 逃げて 逃げて 何の温もりも待たなくなった存在から、ひたすらに逃げ出した。
そして、再び探し始めた。想いを組み立ててくれる温かい存在を。 探して 探して 探して もし見つけることができたなら、その時は お願いだから抱きしめて、温めて欲しい―――
2004年10月31日(日)
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