私の彼女。
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2009年10月02日(金) 悲歌

中山 可穂さんの新刊、「悲歌 エレジー」を読みました。
3つのお話が入ってる短編集です。
発売当日、会社の近くの本屋を3件まわったんですが、
どこにもまだ入荷されてなくて、入荷予定を聞いても、明日以降、1冊・・・とか。
同じ日に発売されてた、東野圭吾さんの新刊はどこに行っても山積みなのに。
やはり、たくさんの人から読まれる作家さんではないのかもしれない。
でも、だからこそ私の中ではどんどん価値があがる。

今までの作品が、女性同士の濃い恋愛小説が多いだけに、私達のような人間が共感し、私達のような人間に愛され、また私達はそういった作品を次も期待するんだけど、最近の中山可穂さんは、女性同士の濃い恋愛から少し離れているようなものを書く。
そこに物足りなさを感じる人もいるだろうし、私達のような人間の中には、男性が物語に登場するだけで、不快感を抱くような人も多いと思う。
男女間の普通の恋愛。
でもそれってなんでだろう。

私自身、やっぱり胸が痛くなって涙がただただ流れてしまうような、中山可穂さんの濃い女性同士の恋愛小説が読みたいなぁと言う気持ちももちろんある。
男女間の恋愛に、「ちっ」と思う気持ちもある。
でもそれって、やっぱり一般的で、誰にでも認めてもらえる恋愛をしている人への嫉妬というか、自分達がしている恋愛の行き場のなさをわかってしまっているからというか、そういった自分へのマイナス要素の気持ちがあるからなんだろうなと思う。

誰だって、まわりの人に認められたり、祝福されたいと思うもんね。
一般的な社会の評価は気になる。
そんなもんと思いながら、そんなもんに左右される。
そして、自分達の恋愛は、そういった壁がある分、特別に悲しく、特別に深いんだと思い、それで自分を高める。
そんな風に思ってもしかたないよね。

なんとなくだけど、中山可穂さんが最近、そういった女性同士の濃い恋愛から少し離れた物語を書く理由は、そんなとこにあるんじゃないかと思う。

私は、女性しか愛せない。
もちろん誰にでも言えることではないし、どこまで行っても「結婚」というカタチで社会の中で認められたり、祝福されることはない。
だから不安になり、相手を縛りつけようともするし、嫉妬に狂うこともある。
これから先も、たくさんの試練があり、生きづらいと感じながら生きていくんだろうと思う。
でも、だから同性同士の恋愛が深いというのは少し違う気がする。
いや、だから深いという部分ももちろんあるんだけど、でも、そのせいにしちゃいけないなって事も多い気がする。

なんかうまく書けないけど。

で、今回の中山可穂さんの物語。
そんな女性同士の濃い恋愛の話ではなかったけれど、
どれもやはり果てしなく悲しく、果てしなく美しい世界でした。
なんでだろう、とても悲しいんだけど、とても澄んだ優しい気持ちになって、
人を愛することは、苦しいけどホントにかけがえのないことだなぁと思う。
この読んだあとの気持ちよさ、切なさ、悲しさは、話が女性同士の恋愛だろうと、異性間の恋愛だろうと、一緒だったから、自分がセクシャルマイノリティーだからという事で逃げている部分、それのせいにしてしまっている部分もたくさんあるんだろうなと思った。

本当に、中山可穂さんの世界は素晴らしい。
こんなにも、人の心を動かし、こんな気持ちにさせてくれるなんて。

ありがとう。
大好きです。


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