綴緝
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あたしが怪我をした時、誰より怒るのが――――。 「なんで治癒(リカバリィ)かけないのっ!?」 アメリアだったりする。 怪我、と言っても掠り傷。騒ぐほど重傷ではない。 だが今回は場所が悪かった。腕ならグローブかマントで隠せるし、足ならズボンかブーツで隠せる。その他の場所は服が隠してくれる。しかし。顔はどうにもならないのだ。まさかマスクをかぶる訳にもいくまい。ゼルガディスのようなフード付きの貫頭衣も持っていない。持っていたとしても、突然フードをかぶって皆の前に出たら怪しまれる。当たり前だが。傷を治さないなら素顔で現れるしかない。 がた、と椅子を引いて座る。 「治癒かけるまでもないわよ、こんな傷。舐めときゃ治るわ」 ぱたぱた手を振り苦笑した。まったく、ガウリイもそうだが大袈裟なのだ。その保護者は無言でもやっぱり、心配だ心配だどうして顔に傷を付けたまま平然としていられるんだああ心配だ、というオーラを全身から発している。ちなみにゼルガディスは、というと。 「舐めてやろうか」 あたしはさて今日の朝食、何にしようと手に取ったメニューをばったり落とした。 「な」 ごん、がす。 なに言い出すのよあんたわっ、という叫びはガウリイの行動によって喉の奥に引っ込んだ。 ゼルガディスが思いっきりテーブルに顔面強打した。ガウリイが力加減を全くしていなかったせいと、ゼルが不意を突かれたせいで。 つまりそのなんと言うか。ガウリイが剣の柄でゼルの頭を殴ったのだ。 「顔よ顔! ダメよリナだって一応は女の子なんだからっ」 アメリアが何も無かったように言った。 ……一応はって何。 突っ込もうとしてやめた。返される言葉がなんとなく予想できるからだ。 「……いーの」 実を言うと、傷が付いているのは顔に留まらない。アメリアに見えない場所――袖で隠れている二の腕とか胸の辺りとか背中とか、あまり大きな声で言えないが、腿とか足の付け根のきわどいところとかにも。それはもう無数に引っ掻き傷がある。 でもあたしは治さない。服が擦れて痛くても、シャワーを浴びる時どんなに沁みても。 「良くないわよ」 わからず屋っ、と頬を膨らませるアメリアに、苦笑でない笑みを向ける。 「いいのよ」 だってこの傷は、ゼルに触れた時にしか付かない傷だから。
――終。 稿了 平成十四年九月十四日土曜日
……てゆーかテーブルに突っ込んだゼルはどうでもいいんかい。<オチ←台無し
恥ずかしいので明日には削除します。つーてもまあ前回書いた小説と同じく某所に恥晒しとして置いておくでしょう。おかしーなー。少女漫画チックにをとめ一直線なネタだったのに。ゼルが悪ふざけしてガウが制裁したらこんな事に。本当は日記に出すネタはこれじゃなかったんですが、あまりに寒いネタだと直前で気付いたのでこっちに切り替え。うーむ気付いて良かった。あぶなかったー。こにょまま闇に葬ったるわい。もいっこゼルリナあーんどアメリナ話を思いついたにょで、そちらも某所で細々と連載するでせう。てゆーか更新止まりっぱなしの書棚をどうにか……つか七夕ネタはどうなったんだとゆーツッコミ大却下。ああ泣きそう(泣け喚け叫べ)。
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予告通り移植。そしてまた推敲をしない……。自分で読み返したくない話を公開するな>私
次はゼルリナのちょっとだけ長い話を書く、かも。連載もの抱え込みすぎ。完結させる気はあるんです。あるんですったら!(ぼのぼの風に)←読みたいんだが今更全部買うとゆーのも、と躊躇してまふ。 <平成十四年九月十五日日曜日>
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