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No-Mark Stall *




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一幕。 | 2008年09月26日(金)
「愛は真理で醜悪の最たるものですが、恋はこの世で最も聖く、そしてこれ以上ないほど邪なものですよ」
黒い法衣の男は聖書の文言を唱えるように穏やかに告げ、私を見下ろす。
「真に正しく美しい人間には愛も恋もない」
「それは人形だわ」
人間のかたちを象っただけの空っぽの、虚しい一人遊びの相手。
胸元で拳を握り締めながら彼を見上げると、男は薄く笑ってこちらに手を伸べてきた。
「きみのことですよ」
「あなたのことでしょう」
冷たい指が輪郭をなぞる。あてられた掌は薄いが予想よりはるかに柔らかく頬を包みこんだ。
長い前髪の奥で目を細め、彼はひどく唇を歪めた。
「残念ながらわたしはその理にあてはまりはしません」
「……人間じゃないとでも、言うの」
男は笑うだけで応えない。座り込んでいる私の高さに合わせるために折っていた膝を床につき、身を乗り出して耳元にその顔を寄せる。首に感じる吐息に背筋が粟立った。
「ねえ、わたしを愛してはみませんか」
「いやです」
迷わず拒否した私に、けれど彼はいたく満足したようだった。
「楽しみですね」
耳に触れんばかりだった唇が離れ、今度は額をつき合わせて彼はまた笑う。
「わたしは美しいいきものが醜い本性を露にする瞬間がたまらなく好きなのです」
楽しみだ、と彼は再度呟いて身体を離す。
興味を失ったようにさらりと踵を返し、すぐにその背は夜の闇に消えた。

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なんかこう、思いつめた輩が片恋の相手にずいずい迫っているのとか壊れちゃってる感じのひとたちがいちゃいちゃしてるのはまだ楽に書けるんですが、相思相愛らぶらぶいちゃいちゃが書きにくいのは何故なんだろうなー。
ていうか1番最初を結構ノリノリで書いているのは問題がある気がします。
written by MitukiHome
since 2002.03.30