PHANTOMPLUS 読書記録

2004年11月27日(土) NO6(本)

 ちょっと前から、私はこれに嵌っています。けっこう日記で騒いだので、そちらを見た方には、もう私の嵌りっぷりはわかっていただけていると思いますが。紹介せずにはいられない。

 久しぶりに首の痛くなる本でした。時間を忘れ、体勢の不自然さも忘れて読みふけった結果です。

 児童文学よりも描き込まれた、いわゆるヤングアダルトという分類になるこの本。あさのあつこさんのゾーンですね。ゾーンだと思っています。だって『バッテリー』があるもの。
 そもそもわたしはあさのあつこさんが好物ですが、それでもこの『NO6』一気にトップに躍り出た感じがします。

 とりあえず読んでくださいと、言いたいところですが、人の嗜好はそれぞでれすのでそんなことも言えず、ゆったりとお勧めするにとどまります。

 舞台は近未来というか、ちょっとパラレルな感じもする、多分日本。戦争で傷ついた世界の中、何者にも脅かされない理想都市『NO6』が生まる。理想都市として誕生した『NO6』であるがゆえ、この都市を理想としない、この都市で幸せと感じないものは存在しない。いや、存在してはいけない。
 その存在してはいけない存在となる少年が、この物語の主人公。紫苑である。そしてその思を気づかせる一端となったのが、台風の日、窓を開けたためにやってきた少年、ネズミ。彼の来訪で、エリートだった紫苑は一転、都市の最下層に組み込まれることになる。
 やがて少年は青年に近い年になり、公園で働くようになっていた。ある日、その公園で変死体が発見されることで、二度目の歯車が回り始めた。老人にしか見えなかった死体が、実は三十代の男性であることから、事件に興味を持つ紫苑。その紫苑の前で、同僚の男性が見る見る老い、死んでいった。かつて見た変死体と同じような姿となって。そしてその首からは……

 読みやすいです。本をあまり読まないという人にも、とっつきやすいとは思います。個人的には、ところどころにちりばめられた写真が……ちょっと目につくかな。これはあまり文章中にイラストやら絵やらを見ていないせいだとはおもいますので、そんなに気にならない人もいるのではないでしょうか。
 この作品では、ストーリーはそんなに複雑に交差しません。基本的には主人公の視点で進みます。時折、都市に残してきた母親や、陰謀の中にいる男達、そして紫苑を案じる少女に視点を譲りますが、大本がどこなのかがしっかりしている生で、良い刺激になるだけ。もちろん伏線でもあるのでしょうけど。

 現在は#3まで出ています。図書館にはあるかしら。もしかしたら児童書に組み込まれているかもしれません。ぜひ探してみてください。お勧め!


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相月 [MAIL] [HOMEPAGE]

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