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■ ノイズ・クライ・シック
音圧が風に乱れたカモメの群れ。しゅうと消え去っていくのは、砂上の楼閣。あなたが今見ている景色さえも幻影だと、言い切れない。さすれば、消えゆく命は、はて? 幾世紀もの時を経て失われ、変容し、風化した呪文は空に向かって飛ばされる。そのうすら低い読経の音は渦を巻きながら雲の切れ間に消えていく。ノイズにまみれた世界。私は、はたして理性を保てるというのでしょうか。そこになるのは、平和の調べ。ノイズ! ノイズ! ノイズ! 風が凪いだ。 一瞬の砂嵐(ノイズ)の切れ間に見えた見えた空は、今でも青い。なぜならそれは光の屈折の性。プリズムたちは交錯し、色彩たちは選定される。青色の抽出。誰かが私を見つめる。血が混じった、青色の瞳は、黒と混じったために薄い灰色。アルビノ化した風景。ほとほと疲れ切った彼らの目は、光を吸い込み、淀む。空気は乾燥し、干からびていく手足。神経体。しゅくしゅくと、ちぢんで、あまりに情けなし。 離ればなれになるのが怖い。この、白と黒と、黄土色の世界。砂上の上に立つ楼閣は、意識の集合体。世界は破滅に近い羅列。断絶された都市は、より固まって震えている。内部は安寧ならば、矛盾の果てに行きついたのは、あまりに整然とした構造だから、私は鳴らす。音を鳴らす。それは、叫びだ。内なる、さらに内なる。叫びだ。しかし、それにさえ混じるノイズ。すべての権化は砂の化身。幻影の龍神のごとく。 あまりに、悲しい未来なのでしょう。 これから五百年も経った先には、ただ、地表をさすらう風の音だけがこだまして、無機質な大地の上を無機物たちが闊歩する。 精霊たちの笑い声、響く。
2009年05月12日(火)
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