血の通わぬお前の姿なんて観たくなかった。だから棺からは目を背けた。 そうでもしないと私は、あの時その場で泣いてしまうと思った。 私は、泣いてはいけないような気がしていたのだよ。 (いとしいということはなんというつみぶかさなのだろう) まだお前にさよならを言えない。 まだ言葉にするのが恐いのだよ。恐ろしいのだよ。 その、永遠に失ったといういう事はまだ、嘘のような気がしていて。 本当はまたお前が電話をかけてくるのではないかと、思っているのだよ、愚かな俺は。 「大佐、お電話です」 中尉の言葉にぎくりとする。 心臓が止まるかと、思う。 電話があるたび、俺は期待をするんだよ。 電話がない事に気がついて、それでお前はいまどこにいて一体なにをしているのだろうかと考えて。 ふと、お前が死んだと言う事実に何度も気づかされる。 毎日毎日。 私はそれを飽きもせず繰り返しているのだよ、ヒューズ。 ヒューズ。 どれだけお前の存在が大きなものだったか、俺は今まで知らなかったよ。 たとえお前にもう血がかよっていなくなって。 ヒューズ、お前が死んでしまっただなんて信じられやしないんだよ。 さよならなんて言えないんだよヒューズ。 血の気のない顔でもいい、最後の顔を見ておけばよかったと今更になって後悔しているんだよ。 きっと見ていればこんな事にはならなかったのではないかと、思うんだよ。なぁヒューズ? 電話をしてくれないか。 なぁお願いだお願いだお願いだからヒューズ、俺に。 さよならなんて言わないから。 笑って、死んでなんかいないと言って、 そんなのは夢だと言って笑い飛ばしてくれよ。 俺はさよならなんて言えやしないから きっと俺はこの喪失感を墓までもっていくのだよヒューズ。 俺はどうしようもなくお前の事を愛していたよ。 ただひたすらに愛しかっただけなんだよ。 -- やっぱりどうしてもわたしは大佐になってヒューズに永遠の片思い(両思いはだめみたい)をしたいのです。 中尉にもちょっかいだせてヒューズに恋できる大佐が憎い。
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