気がつけばもうすぐ一年。 この日記も書かなくなったなぁ。
私にとって過去の記憶というのはとても大切であった。 それほど多くのことがあった訳でもないので尚更記憶に残っていることが多かった。
忘却というのが罪だと思っていた若かりし頃の私。 忘れまいとする行為は私を殊更閉鎖的な人間にしていった。 多くの新しいことを受け入れない代わりに私は、私の持つ記憶を自分の中に留め置けると思った。 それでも忘れてしまう感覚。 「人間の貪欲さに負ける」 ミルが私に言ったその言葉をなぜか私は今でも覚えている。 彼自身も分かっていたように、私もその「人間」の一人だから。
あえて言えば、私は、そんな自分も甘んじて受け入れられる人間になった。 それが成長なのかどうか自分でもわからない。
結局私は、根本的には何も変わっていなかった。 変わったのは 「そんな自分が嫌いだった」過去の自分。 「そんな自分でも好きになった」今の自分。
確かに自分はそんなに褒められる人間ではないと思う。 相変わらず視野は狭いし、目の前のことにてんてこ舞いだ。 30を過ぎてから体も病気がち。 決断力もないし実行力もない。 人付き合いも上手にこなせない。
そんな自分がつかむ幸福がどんな色をしているのか全く分からないが、自分が望んでいるのが何色なのか、大分はっきりとしてきた。 それを具現するもしないも全て自分のこの手に握られている。 自分もようやく、そういう年齢に達したのだと感じている。
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