地域柄、という事もあるんでしょうけれど、やはり農家を営んでおられるお客さんのお家に当たる事が結構あるんですが、その度に感心することがあります。 それは、女の人の勤勉ぶり。 や、お嫁さんとかはまあ、居ても手伝わないパターンが今は結構多いんで、主におばあちゃんが対象なんですが、みなさま、ひたすら黙々と働いてらっさるので、感心する事が多いです。 以前にレタス農家のお宅で工事をした時、 朝三時ごろから畑に出て、七時頃に帰ってきて朝食、夕方からまた畑……というパターンでお仕事をされていたんですが、 旦那さんと二人、早朝(というか深夜)から畑に出てらっしゃるのに、帰ってきてから洗濯をしたり、掃除をしたり、出荷用のダンボールをこしらえたり、旦那さんが昼寝をしている横で、休むことなく動き回ってらっしゃる奥さんがいて、心ひそかに感心した事がありました。 んで、今回は多角的に農業をやられているお宅で、今の時期は花卉の出荷をされていたんですが。 朝、八時半頃にお伺いすると、お婆ちゃんが納屋の一角に座って、採ってきた花の余分な枝を落とす作業をしていらっしゃいます。 お昼近くになって、ふと見ると朝と同じ姿勢のまま、ぱちんぱちんと鋏を動かしてらっしゃいます。 そして夕方六時、帰りの挨拶をする時も、同じ場所で座ってぱちんぱちん……。 十時三時にちょっとお茶を飲むのと、お昼ご飯の時間以外は、ずーーーーっと同じ場所に腰掛けておんなじ作業を続けてるんですよね……。 もちろん、平日も土曜も日曜も、関係なく、工事の間中ずーーーっと。 んで、ラジオをかけるでもなく、誰かとおしゃべりをするでもなく、本当に黙って黙々とお仕事。 お爺ちゃんのほうは、何だかんだと出たり入ったり、集まりがあるって出て行ったり、気づくと居ない事が多いのに(笑 なんというかね、一種畏敬の念を抱かせる光景でありましたよ。 確かに生きて行くことは、イコール仕事することでもあるんですが。 明日も明後日も、あの花の時期が終わるまで、お婆ちゃんはあの場所でじーっと座って同じ事を続けるわけですよ。 で、花の時期が終わったら終わったで、あのお婆ちゃんはきっと違う仕事を黙々としてるんだろうというのが、想像できたるんですよ。 お仕事だからやれって言われても、絶対に私には出来ません。 きっと、出たり入ったりする旦那さんに文句を言ったり、ぶらぶらしているお嫁さんに文句言ったり、途中で投げ出したりしちゃうに違いない(苦笑 そういう感情から離れた場所で、静かに時間を紡いでいたお婆ちゃんは、やっぱり凄いなあ、と、つくづく思うのであります。
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