土地が幾らでもあるように見える田舎でも、隣家との境界線でもめることが珍しくないそうです。ましてや、隙間という隙間を埋め尽くすような街中ではなおさら。 下見に伺った際に、お客さんが裏の畑をさしながら言いました。 「絶対に一歩たりとも、こっちの土地に入ってもらっては困ります。気をつけてくださいね」 お風呂のある裏手側、お客さんの土地は家から約六十センチ、隣の畑との境には低い石積みが一段あるだけです。 ここで普通考えるのは 1.隣の地主さんが非常に煩い人で ちょっとでもゴミが落ちたり、植木の葉っぱが落ちても文句を言ってくる 2.以前にこの境界線のことで揉めた事があって、隣人との仲が険悪 と、まあこのあたりでしょう。 私も、「1かなあ、音とか埃に煩い人だと嫌だなあ」と少し憂鬱な気持ちで予想しておりました。 が、しかし。 翌日、ひょいと畑に現れたこの隣人さん 「なんだい、こっちの畑を歩いてくれたって構わないんだで。道具だって荷物だって、いくらでもこっちを使いましょ」 と言うではありませんか。 ……(−◇−)はいい? 予想1・2はあっさり覆されたのでありました。 3.お客さんの方が実は偏屈 4.お隣さんが自分の土地を使ったても言いという=お客さんにしてみれば自分の土地が狭い、使いずらい事を指摘されているようで嫌な気持ちになる。 (これが業者が入るたびに繰り返されて、内心つもりつもったものがある) いろいろ考えると怖くなってくるので、4を考えたあたりで止めました。 平穏に見える住宅街にも、裏では様々なドラマが……(やめれ
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