絶対キレてる。
怖い。
そう思いながら向かった裕の店。
だけど、裕はしおらしかった。
トんだ事で他のホスト達から暴行を受けた裕。
私は何を言っていいのか分からなくて
ただ、これ以上面倒な事は避けたくて
「もうお店には行かないから。」
そう、伝えた。
「分かったよ」
元気なく裕は答えた。
そして、私達を繋ぐものは無くなった。
たまに裕から電話はかかってくるものの
「店に来て」って言葉は聞かなくなった。
ただ、自分の近況を報告してくれた。
今の店の店長の家に軟禁状態で仮住まいさせられている事。
トんでいた間を無断欠勤として扱われたため、罰金が30万円近くある事。
それを給料で返すには100万円以上売り上げなければいけない事。
くるみが相変わらず裕の為に店に通い続けている事。
私はただ話を聞いていた。
店に行く気は相変わらず無かった。
そんなある日の裕からの電話が
私達を再び結びつけた。
「今度新しいお店がオープンするんだけど、
そこで働く事に決まったよ。
その時はただ
「へぇ」
って思っただけだった。
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