きまぐれがき
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2003年07月26日(土) 希望の青

「大丈夫よ、行ける行ける」と母が言うので、今日は往診をして
いただかずに、病院へ行くことにした。

まずは私自身の身支度をすませて母の部屋をのぞくと、母はすでに
着替えをすませ、お気に入りでもあるローズ色の口紅をひき、
指輪もはめて待っているのだった。

「あたくし、横になっている時でも本を読んだりしているのですが、
今はなにもしないで、ただ横になっていたいだけです」と弱々しい
声で、往診にみえたドクターに話していた2週間前に比べると、
表面上はかなり回復しているようにみえるのだが、検査数値がまだ
まだ正常値には程遠く、多分入院治療となるだろう。

希望と不安の高波が交互に押し寄せてくる。
しぶきをかぶりながら私は、引いていく波にぐらつく足元を取られ
ないように、なんとか踏ん張っているといったところか。

母にとっては久しぶりに出る庭。
ガレージの車まで歩く途中、青い花の前で立ち止まって「この青は、
大好きな青だわ」と言う。
うんそうだね。青い花が好きだったね。
都忘れ、忘れな草、ききょう、リンドウ、イソトマ、ブルーデージー、
ブルースター、クレマチス、アメリカンブルー、デルフィニウム......
思いつく限りの青い花で、今すぐにこの庭を埋めつくしてあげたい。





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