きまぐれがき
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何年か前にあれこれとビーズを買ってはみたものの、何かの形に なることもなく、色、形、大きさ別に一応は仕分けをして収め た箱が、何個も積み重なって放置されたままとなっている。
そもそもビーズの一粒を、指先に取ってみるということすら しなかったのだなぁ。。 意気込んでみても素早く気分が変わって、やる気が失せてしまう 性格というのは困ったものなのだ。
その箱の山を目にするたびに、またもや恒例の自己嫌悪と、焦燥感 にまで苛まれて.....そんな日々を過ごしていたある日のこと。
「あなた、こういうの好きでしょ」と大磯に住む友人から送られて きたのが......こちら。 へへ〜ん、好きだよ。 なんだか私の日常を見透かされているようではないか。
十字架のネックレスとお耳がぶらぶらしている ワンコのストラップ。
ハートのストラップと清々しい白の指輪。 リラ色のブレスと指輪とおそろいのネックレス。 実物はとっても美しいスワロフスキーなのです。
これを......大磯は作ったのだな。 あの人が、遠くに海の見えるリビングの窓辺の籐椅子に腰掛けて、 指先でちまちまと作業する姿なんて、笑っちゃうほどしっくり こないのに。 劇場のロビーを、もののけにとりつかれたようにフワフワと歩いて いる姿しか思い浮かばないのに。 あ〜本人がこれを読んだらきっと怒るよ。
どうにも想像することのできない彼女の指先での作業を、無理やり 思い浮かべて労をねぎらいながら、「完成をみないもの」を身の回 りにどっさりかかえているぐうたらな私としては、素直に喜んじゃ っているのである。
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