きまぐれがき
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先日やっと母が退院した。杖と手すりにしがみついての危なっ かしい歩行、それも数歩で疲れてしまうらしい。 筋力が落ちないよう、せめてリハビリの時ぐらいの歩数は確保 させたいのに。
母を出迎えたのは、くまの天使を抱えるサンタさん。
デパートにでも行けばクリスマス関連グッズが溢れているだろう けど、出かける時間がなくてネットで注文してみた。
入院中に、要介護認定の申請をしておいたので、早速、市の職員が 調査にみえる。 本人に心身の状態などをいろいろと質問されるのだが、「住所は?」 と訊かれて、母ってば「知りません。そもそもこちらの住所は覚えな かったもので」なんて答えちゃってる。
そりゃぁそうだろう。 手紙を出す時には、同居をした際にさっさと自分で作った住所と名前 の入った判子をポンと押すだけで、そのたびに押された印の住所を 確認などしなかっただろうし。 電話でタクシーを呼ぶときや、お米などを注文する時には○○幼稚園 の隣の△△(苗字)です、と言えばすんだのだし、だいたい同居して からというもの、母の手で何かに住所を記入することなどなかったの ではないかしら。
それで思い出したのが、以前義父が脳外科で手術をした時のことだ。 術後の回復室というのか、病室に戻るまでの2.3日を過ごす部屋 では、義父の隣のベッドに事故で手術をされたばかりの中年の女性 がいらした。
ドクターや看護婦さんが、その女性に「名前は?」「ご住所は?」 「ここは何処なのかわかりますか?」など次々と質問をしていくのが 、義父のベッドの傍らにいた私の耳にも入ってくるので何とはなしに 訊いていたところ、それまでスラスラと答えていた女性が、 「ご主人の生年月日は?」で、「。。。。。。。」突然沈黙して しまった。
ドクターも看護婦さんも、何度か同じ質問を繰り返していたが、 いくら考えても、考えても、「うぅぅぅぅぅぅ。。。。。。」と 声が詰まって答えられない。
私は全身が耳となって緊張した。
すると、それまでじっと黙っていたご主人がボソッと 「多分知らないんだと思います」と言ったので、「なぁんだ〜」と、 ドクターも看護婦さんも私も声をあげて笑ってしまったのだった。 最初から知らないものを思い出せるはずがないものね。
それにしても、ご主人の誕生日になどまったく関心なく過ごしてきた 結婚生活って、あっぱれでもあるよなぁ。チガウか (^^ゞ
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