きまぐれがき
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友人の拘りが、いつの間にか私にも伝染して、さほど興味の なかったエコール・ド・パリの画家たちの美術展に足を運ぶ ようになって10数年が経つ。 この時代の画家たちの中で、心惹かれるのはキスリングと 藤田嗣治だ。
キスリングのミモザはすごい。 じっと眺めていると、花房が揺れる。花粉が飛び散りそうだ。 瑠璃色の小ぶりの花瓶から溢れそうになって、どうだ!見てくれ! といわんばかりに咲き誇っている。 あまりの堂々とした様に、花瓶がひっくり返らないか不安になって しまうほどだ。
藤田が描く「手」。 独特の乳白色よりも、私はこの「手」が気になる。 「藤田はどうしてダヴィンチが描く手の真似ばかりしてるの?」 と、何も知らない私は友に訊いてみた。 「その手に惚れていたからさ」 ああ、だから洗礼名をレオナールにしたというわけね。
そんな藤田を、多分真似したものだと思うけれど(謎だ。。)、 レプリカ、贋作。。なんとでも言ってぇ〜〜〜 欲しくてたまらなくて10数年前に買った木版「カナリアを抱いた 少女」。
やはりダヴィンチの手をしたこの少女との出逢いが、 「贋物を持つよりも、なにも持たないほうがはるかにいい」 のポリシーを、ついに捨てさせたのだ。但しこの時だけ。
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