久しぶりに通る道で、向こうのほうからいい匂いがしてくると思ったら。 だんだん近くなるその匂いは金木犀に似て、 もう少ししとやかな感じがしたのだけれど 傍まで行ってみると、果たして 薄い黄色と白の花を咲かせた木犀の大木に出会いました。 いい匂いだね、と言いながら子供と先を急いだけれど、 その日の帰りがけには激しい雨にあって、 駅の近くに自転車を置いてくるはめになりました。
翌日、自転車を取りに同じところを通ったら、 白と黄色の小花は、案の定ほとんど地面に打ちおとされて、 あたりの匂いはだいぶ弱まってしまっていました。 落ちた星屑みたいな花を子供が両手で掬って投げ上げると、 雨に洗われてなお残っていた花の香が、最後に明るく散りました。
金木犀より白っぽいから、銀木犀というのかと思ったけれど、 本当の銀木犀は真っ白な花で、あまり見られないらしいです。 白と黄の花をつけるのは薄黄木犀というのだそうで、 その匂いはやはり、金木犀のそれより若干明るいと思ったのですが、どうでしょう。
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