リネーム窓際祝言。
いつになっても同じあの場所を振り返る。 次第に色を失い崩れて行くいくつもの場所。 かつては容易に触れることも出来た。 今となっては当時の残り香が僅かに留まるのみ。 白く輝いていたあの日々にもう一度触れたくて。 窒素充填したショーケースに保存しておけるはずもなくて。 時とともに薄れ消え行く必然なのは解っていて。 それでももう一度取り戻したい輝く日々だから。 掴んだ手をすり抜けて空に溶けて行く時間。 霧に霞んだ顔はもう笑っていても泣いていても変わらず映る。 時を経たスクリーン越しの再会は痛いほど誤差を感じさせる。 受け入れるしかないと言い聞かせてみても其の笑みは寂しく。 あの日確かに存在したはずの幾つもの容と想いの起伏。 少しずつさらさらと崩れて平淡になって行く。 其処には初めから何も存在しなかった。 いつかそう想うしかなくなる日が来るのだろうか。 振り返ってみてもまっさらな平地がどこまでも広がるばかり。 そうなった時にわたしは何を想っているのだろうか。 この先あと幾度あの場所を振り返り見ることが叶うのだろう。 |
零と壱の綴れ織。 | ||
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