曳航弛緩パーティション。
あの日があった水面を振り仰いだ。 腕の中に高く其れは凪いでいた。 取り残された滴を指先から取り戻そうとしたのか。 取り残された私を指先から投げ出そうとしたのか。 触れた其れは表情を変えていた。 胸の中を乱反射して遠く曇った。 散らかり出した映像の一つ一つも沈んでしまった。 質量のない世界に想いを馳せて浮かんだ。 作られた網の目から零れて光っては消えてしまった。 時間のない世界に足を踏み入れて泥んだ。 楔を打ちつけては其の下を潜っていた。 不透明な幾つもを重ねては見えるままを儚んだ。 見える先が透明になれと祈っては見えぬ全てに委ねた。 欠けた液体は低地に向かっていた。 張り付いた表面からは届くはずもなかった。 いつまでも凪いだ水面を抱きたかった。 また見上げてみた。 |
零と壱の綴れ織。 | ||
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