思考過多の記録
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2009年12月13日(日) |
頼まれもしなければ、求められてもいない |
勝間和代のベストセラーに「断る力」というのがあった。 がしかし、香山リカがやはりベストセラー「しがみつかない生き方」で書いているように、「断る」前に、依頼がない人間の方が多い。 頼まれもしなければ、求められてもいない。 そういう人間は結構いると思う。その人達が全部ダメ人間、努力がなり内人間、能力のない人間かというと、そうとは言い切れないと思う。
そう書くのは、僕がそのうちの1人だからだ。 以前は、僕も自分の得意分野である脚本の執筆能力を買ってくれる人がいるのではないかと夢想したものだ。誰かが、僕の脚本を求めてくれのではないか、と。 それも、「報酬」を伴って。 しかし、それは所詮は夢想だった。 結局、僕の脚本は、世に出ることはなく、自分で場を設けて金を出し、発表する以外になかった。しかも、それを見て、僕の能力を「買って」くれる人間はついに現れなかった。
頼まれもしなければ、求められてもいない。 そう気付くのに二十数年を要した。 世の中は、「努力すれば報われる」「夢は必ず叶う」という幻想にすがっている。そして、それを振りまいている。 だから、夢を実現できないのは、その人の努力が足りないからだ、となる。 しかし、それは違うと思う。 人間、持って生まれた才能が、悲しいことに1人1人違う。 確かに僕は脚本がかけるかも知れないけれど、それが世の中の多くの人に受け入れられるだけの優れた作品を生み出すだけのレベルではなかったのだ。 だから、頼まれもしなければ、求められてもいないのである。
どんなに地団駄を踏んでも、その事実を動かすことはできない。 現実にそれは、目の前に突きつけられている。 だから、僕のような凡庸な人間には「断る力」は必要ない。 だって、頼まれもしなければ、求められてもいないのだから。 どんなに悲しんでも、それを否定することはできない。 事実、誰からも頼まれもしなければ、求められてもいないのだから。 どんなに悔やんでも、それに抗うことはできない。 どうしたって、頼まれもしなければ、求められてもいないのだから。
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