ぱちんと、何かが音を立てて弾けた気がした。 君からのメールに、ふざけるなと声が出そうになった。 表情が冷たさを増す一方で、体温が上がっていく。 キーボードを叩く手に力が入り、 隣の先輩が不審げにちらちら視線を送る。
なんでわかってくれないの。 世界中の恋人同士が交わすありふれたフレーズ。 憤りが、いつものように自責に変わる前に、メールを書ききる。 いつからメールで怒りをぶつけるようになったのか。 それは仕事や距離だけのせいじゃないはずだ。 勿論、返信はない。 予想していた諦めが、つめたくつめたく胸の内に広がっていく。
ひとりでぼんやりと彼女の言い分を考え出せば、自己嫌悪を生むだけ。 何にも考えたくないから、 シングルモルト1杯と自分に言い聞かせて、職場を後にする。
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