NORI-☆
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男の買い物?
主として身につけるものを選ぶときに限るのだけれど、 自分のものであれ、ママの付き合いであれ、 サトシとデパートに買い物に来ると、 最初に見たもの・手にしたものに 「あ、それがいい。それにする」と即決したがる。 当然、ママは値段とか素材とか洗濯できるかとか そういうチェックも細かくしたいし、 いろいろ見比べたり試着したり、 要するに「あれこれ迷うも買い物の楽しみ」 なわけなのだが、これがサトシには通用しない。 5月にpersonsのオレンジ色の野球帽を買ったときも、 最初に隣のpetietJUNKOでオリーブグリーンの ミリタリーっぽいキャップを見て、ママが 「サト、帽子何色がいい?グリーン?」 と言った途端に、 「緑がいい。それにする」 「でも、ちょっと地味かなぁ…かぶってみようか?」 「大丈夫、これがいい」 しかし、このキャップはつばの角度とトップのカーブなど 微妙なところで、いまいちママの好みに合わなかったのだ。 同じコーナーの中の他のデザインのものを 手に取って見比べているママの横で、 「その緑のでいいんだってばぁ!」とじれるサトシ。 それをとりあえず軽くいなして、隣のブースにあった 小さなワッペンがにぎやかにトップを飾っている 鮮やかなオレンジのキャップに向かっていくママ。 「ちょっと派手?」 と言いつつ手に取ると、間髪を入れずにサトシ、 「それがいい、それにする」 さっきのとは全然方向性が違うんですけど??(^^;) でも、かぶってみるとなかなかかわいい。 「いいかも……」 「いいよ!」 「…サト、ちゃんと考えてる?(^^;) もう、サトってほんとに“男の買い物”なんだから…」 とママがぼやくと、売り場のお姉さんが笑っていた。 ほんとはもうちょっとおとなしいデザインのもあって、 ママはそれもかぶらせてみたかったのだけれど、 「これ気に入った。これがいい。これにする」 とたたみかけるサトシに、まあ似合ってるからいいか… とあれこれ迷う楽しさを断念した。 「ヨシくんにもお揃いで買ってあげようかなぁ…」 「うん、買おう!」 「あ、でも色違いの方がいいかな?」 「オレンジがいい、オレンジにする!」 「あー、サイズがないや。50センチじゃ大きいね…」 「大丈夫!」 …おいおい。 それは君が大丈夫と請合う筋じゃないだろ?(笑) でも、お揃いの魅力は捨てがたく、 また大は小を兼ねるということもあるので、 結局買うことにした。 ま、結果的にはサイズは後ろのバックルで微調整できたし、 オレンジはヨシキにもよく似合ったし、 何よりニイニとお揃いは嬉しかったらしい。 また、目立つ派手なお揃いの帽子は、 外出時に我が子を見分けるには最高の目印となった。 パパにこのときの買い物の話をすると、 「ママを喜ばせたくて、 ママが選んだものを一生懸命いいって言うんだよ」 との解釈。 しかし、ママが他のも見ようと言っても同じなのだ。 要するに選ぶのが面倒な「男の買い物」なのだ。 6月にパパの誕生日プレゼントを選んだときも、 父の日のネクタイを選んだときも、 ほとんど同じ展開だったじゃないか。 サトシを買い物に連れて行くといつもこの調子で せわしなくて全然楽しくないので(笑)、 自分の買い物は極力一人で行くようにしているのだが、 今日はサトシの音楽教室の帰りに、 デパートでヨシキを連れたパパと待ち合わせていたので、 時間つぶしに1階の帽子売り場を覗いた。 帽子は子連れ外出の必須アイテム。 愛用の白い帽子がちょっとくたびれてきたので、 今年流行のバケツ型の帽子が欲しいな、と思っていたのだ。 「帽子買うからサトもつきあってね」 「いいよ〜」 バーゲン中の婦人雑貨売り場でも、 帽子と日傘は猛暑の必需品とあって特に混んでいる。 人をかき分けて帽子に手を伸ばし、 鏡の前のスペースを確保して試着する。 帽子は見た目ではわからない微妙なところで 似合うものとだめなものが顕著に出るので、 必ず試着が必要なアイテムである。 (手軽に試着できるし) まずは狙い目のバケツ型を何種類か 素早くとっかえひっかえかぶってみる。 …うーん…総じてこのデザインはだめかなぁ… と思っていると、サトシが追いついてきた。 一応「どう?」とふると、思ったとおり、 「いいねいいね」ときた。 やっぱりどーでもいいと思ってる(^^;)…と思いつつ、 「ん、でももうちょっといろいろ試してみるから 待っててね。ごめんね」と別のブロックに移る。 そのコーナーにディスプレイされていた 帆船の模型にサトシがくぎ付けになったので、 安心してまたいくつか別のタイプを試してみる。 結局、どうも狙っていた路線と似合うタイプ、 基本的な好みが食い違っていたことに気づき、 本能のままに選ぶことにしたところへ、サトシが戻ってきた。 ママは赤い帽子をかぶっていた。 「それいいじゃん!にあうよ〜」 あれ?わかってる? ママもやっぱり赤は似合うと思ったとこだったんだ。 じゃ、こっちは? と黒をかぶって見せると、 「魔女みたいだから黒はだめ」 おや?これは珍しい反応である。 面白いので「これは?」「これは?」とやっていると、 「さっきの赤いのがかわいいとサトは思うよ」 と早く決めなよ、とばかり言われてしまった。 やっぱりいつものパターンで、 早く買い物を切り上げたくて言ってるだけか〜? と思いつつ、最後に、 ちょっと形がかわいいと思ったのをかぶってみた。 ダメと言われた黒である。 「それかわいい!」 「あれ?黒は魔女みたいだからダメって言ったじゃん」 「でも、それはかわいいから大丈夫」 へぇ…これは面白い。 あながちめんどくさがりやの「男の買い物」 というだけではなかったのかな? サトシの審美眼をちょと見直したところに、 パパからただいま到着の電話が入った。 最終決定にはいま少しの時間を要する。 ……購入を断念して、売り場を去ることした。 結局サトシは、自分に似合うかとか ヨシキに似合うかとか、パパのスーツに合うか、 という判断基準を持っていないだけで、 自分なりの美意識を持っている分野については それなりの判断を下して選択するのかもしれない、 ということに、ママは気づいた。 思えば、ママの服装、ママのお化粧について、 批判こそしないが、気に入ったものについては 必ず「ママかわいいね」「ママ、それきれいだね」 といった評価をしてくれるのは、 パパではなくて、サトシなのである。 世界一の「ママウォッチャー」であるサトシは、 ママにとって実に頼りになるスタイリストなのであった。
2001年07月14日(土)
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