詩のような 世界
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何だか痛いな
と思って
胸の真ん中あたりを見てみたら
ぱっくりと開いた傷口が居座っていた
いつの間に?
薬になりそうなものを塗ったところ
傷口は血の代わりに涎を垂らしながら
消えていきそうになった
のに
復活し始めた
痛くて、もどかしくて
また別の薬を探してさまようのだけれど
売っていたのは同じような成分の薬だけだった
買っても治らないのはわかっているのに
手に取ってしまう
胸の間に開いた赤黒い穴が
にやにやしながら
僕を見上げて手招きしている
いつかきっと吸い込まれる恐怖
「もう埋めようとするのはやめましょう」
優しい誰かの手のひらが
泣き声をあげるこの大穴を温めてくれる
温めてくれることを、祈って
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