詩のような 世界
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あの子が 「抱きしめて」 って言うから
僕は黙って ギュッとした
「愛してるよ」
小さな声の不安定な揺らぎは
愛している という言葉を
懇願していた
君は飛べない小鳥なのか
下手な女優気取りなのか
どっちなのかな
いずれにしても
僕は無表情を君に見られぬよう
君の望みを叶えるよ
黙っていても
包み込んでくれる誰かの胸
僕は待っていたみたいに笑う
その誰かも満足そうに
さよならの時間まで 隣にいる
与えられた流れの中に
気まぐれに人は訪れて
アーチ型の窓を開け放てば
薄明るいグリーンの空が広がっていた
どこにも行けない
だから誰よりも
飛びたいと 願う
「寒いから窓閉めて」
ベッドの中から よく知らない声
僕は振り向きかけたけれど
やっぱりもういくことにするよ
さよならのない世界へ
さよなら
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