詩のような 世界
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となりを
目の周りを真っ黒に囲み
毒々しい派手な口紅を塗った(派手にはみ出していた)
男の子が通り過ぎた
君は
世の中馬鹿ばかりだ
と冷え切った茶色の瞳で辺りを見渡す
自分の世界を理解してほしいと願いながら
みんな頭が悪いから
そう舌打ちして
君はいつも独りで丘の上に立つ
どこよりも高いから
ここが僕の場所なんだって
君は意地悪そうに笑ってみせるけれど
そこには何百年も前から
悠然と植わっている大きな木があるからなんだ
って僕は思う
木の下に座って街を見下ろしては
太陽をさえぎる新緑の葉を見上げる
時々差し込む細い光を
邪魔くさそうに避けている
一瞬照らされた君の目には
澄んだまるい海が映っていたんだ
穏やかで
とても温かそうだったから
僕も入れてってお願いしたい
でも
君は人馴れしていない子猫のように
さっと逃げて消えてしまいそうだから
そばにいるだけにするよ
君の持っているもう1つの世界を
そっとおしえてあげたいな
丘の上でゆっくり寝転んで
一緒に
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