二十四節気の「小雪」寒さが進みそろそろ雪が降る頃とされているが
北海道以外はまだ初雪も観測されてはいない。
温暖化の影響もあるのだろう今日も思いがけない程の小春日和となった。
四万十市では「一条大祭」が始まり今夜は前夜祭となっている。
昔からこの頃は厳しい寒さとなり雪がチラつくこともあった。
ここ数年は暖かい日が多く冬の風物詩とも呼べなくなっている。
「お客」と云って各家で無礼講の宴会をするのが習いであった。
無礼講なので案内がなくても勝手に上がり込みお酒をご馳走になる。
それはすっかり伝統行事になっていたのだが
コロナ禍からこっち自粛する家が多くなっているらしい。
随分と昔のことだが結婚する前にガソリンスタンドに勤めていた。
その頃はまだ飲酒運転の取り締まりも緩く
ガソリンを入れに来たお客さんにお酒を振舞うこともあった。
社長の家では大宴会をしており押し掛けるお客さんも多い。
今では考えられないことだがその当時はそれが普通のことだったのだ。
スタンドは男性陣に任せ女性陣は皆社長宅に手伝いに行かされていた。
皿鉢料理はもちろんだが大鍋で「おでん」を煮込んでおり
具が残り少なくなると近くのスーパーに買い出しに行かされる。
竹輪でも蒟蒻でもいいとにかく鍋に放り込めば良かったのだ。
思い出せば愉快なことであるが任務を果たすのに必死であった。
「一条大祭」は「一条さん」と呼ばれ市民に親しまれている。
思い出は数々あるが一番はこの「おでん騒動」であった。
毎年一条さんが来るたびに真っ先に思い出している。
金曜日だったが整形外科のリハビリのある日だった。
おまけに三週間に一度の診察もあり時間が気になってしょうがない。
リハビリは直ぐに終ったが診察までの待ち時間が長いのだ。
以前は遅くなると「ほか弁」を買い求めていたのだが
普段の手抜きにそれ以上の手抜きは出来ないと思う。
娘の帰りが遅くても一人でやれるだけのことを頑張っていた。
四時過ぎに診察が終わる。薬局で薬を受け取ると直ぐに買い物に走る。
タタキ用の藁焼き鰹。お総菜売り場できつね色の鯵フライを買う。
メインはオムライスだった。卵を買い忘れてはならない。
帰宅したらぎりぎりセーフである。大急ぎで洗濯物を畳む。
「さあ作ろう」台所で奮闘していたらあやちゃんが来てくれた。
手伝う気は全くない様子で「今夜は何?」と笑顔で訊いてくれる。
昨夜もそうだったが声を掛けてくれるだけで嬉しくてならない。
「オムライスよ」と応えると「やったあ」と喜んでくれた。
ほっこりと優しい気持ちになる。それはあやちゃんも同じだろう。
つんつんしたり無視したりされたら誰だって辛くなる。
ほんのささやかなことではあったがオムライスにケチャップで
「あや」と書いた。
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