気温はそう低くはなかったが少し冷たい雨となった。
催花雨にはまだ早いかもしれないが植物にとっては恵みの雨である。
一雨ごとにと思う。きっと春を呼び寄せてくれることだろう。
郵便配達員さんが工場にバイクを乗り入れ雨合羽を着込んでいた。
春雨にしては冷たく濡れたら風邪を引いてしまいそうである。
雨の日も雪の日も郵便物を届けてくれて頭が下がる思いであった。
職場に着くなり2階の義父の様子を見に行く。
昨夜も高熱が出ていたそうでぐったりと寝ている。
両腕が炎症を起こしているのは確かでそのせいかもしれないが
二日も熱が続くのは尋常には思えなかった。
例の女性が受付の段取りをしてくれており県立病院へ向かった。
義父の友人が運転を申し出てくれたが自分で行くと云って聞かない。
足元はふらついており何と危なっかしいことだろう。
体力はすっかり無くなっており気力だけが頼りに思えた。
お昼には帰って来たが治療の策も無かったようだ。
処方は腕に塗る薬だけでまるで子供だましのようである。
どうして熱の原因を究明してくれないのだろうか。
せめて抗生剤でも処方してくれたら楽になるように思えた。
けれどもそれも素人考えなのだろう。医師の判断に任せるしかない。
月末の資金繰りはぎりぎりセーフとなりほっと安堵する。
取引先への送金を済ませると資金はまたゼロとなってしまった。
同僚のお給料が支払えずひたすら大口の入金を待つばかりである。
例の大型車のお客さんが来てくれるまでは気が気ではなかった。
必ず来てくれると約束していたので信じて待っていた。
お昼前に大金を持って来てくれた時には神様だとしか思えない。
どれほど助かったことだろう。なんだか涙が出そうになった。
退社前にまた義父の様子を見に行く。
熱は下がっているようで顔色も随分と良くなっていた。
工場の仕事が気になるのだろう。あれこれと心配していたが
何とかなっていることを伝えるとほっとした様子である。
明日は同僚が午前中通院のため私が出社することにした。
カーブスどころではない。仕事を優先するべきだと思う。
そうして精一杯でいよう。何としても会社を守らなければいけない。
帰宅するなりカレンダーを三月にした。
もう二月は逃げ去ったのだと思う。追ってなど行く必要もない。
年明けから災難続きであったが希望を持って歩み出したいものだ。
春の足音が近づいている。終わらない冬などありはしない。
|