世間話としての「彼氏いないの?」。これはもう何事もなく切り返すことができますし、恋愛話のようなものにも普通に参加することができます。そんななか、久々に男性から異性として認識された、ような気がします。いわゆる「気に入られた」というのでしょうか。もともとあまり恋愛やつきあいが得手な方ではないのでそれだけでも困ってしまうのに、仕事が絡んでいたり、自分の状態もとてもそんな気分でもないうえに、上手い対応ができませんでした。具体的に何か言われたなどではないのですが、面倒なことになる前にフェードアウトしなければと焦ってしまったのだと思います。別に傷つけるようなことや大層なことをした訳ではないのですけれど、なんとなく、相手に申し訳ないなという感じなだけなのですが。ああ、中学生でも今どきはもっとちゃんと立ち回れるでしょうに。 もともとわたしは自分が男性から見て恋愛の対象になりうる一人の女であるということがどこか納得できていないようです。誰かからのわたしに対する好意の気配を感じ始めた時点で避け始めてしまったり、それもうまくいかずに告白されてもただただ狼狽してしまい、問題もないのにひたすら断ってしまったり、練習とおもって(相手に失礼ですが…)会っていても、何度目かのあとには逃げ出してしまったり。また、自分が誰かにほのかな好意を抱いてもそれを心の中で恋愛まで発展させることが難しく、結局はそれほどの気持ちではなかったのだろうと勝手に納得していました。 Hとのはじまりは、とても恋愛下手なわたしには太刀打ちできないような状況であり勢いでしたから、避けようとしてもいつのまにか巻き込まれてしまっていました。でも、そのなかでもわたしは相変わらず避けよう避けようとしていました。もちろん、自分とHとだけの問題ではなく、わたしの友人であるHの彼女というもうひとつの関係があり、それが一番の問題ということもありましたが、やっぱり恋愛というものに臆していることも原因でした。 そして、あるときに「もう会うことは無い」ということを自分からHに言ったくせに、そのあとわたしは泣いていました。あのひとと二度と会えないのだ、それが悲しくて辛くて床に突っ伏して泣いている。そのことにすぐに気がつかず、驚きもしないくらいに悲しかったのです。男の人のために涙を流したのは、そのときがはじめてでした。そして、そのことで自分の気持ちをやっと認識しました。ただしその後も素直に流れに身を任せた訳でもなく抵抗し続けていたのですが、結局は収まるところに収まったのは相手がHだったからでしょう。こんな結果で終わったにしろ3年近くもつき合うなんて過去になく、それも相手がHだったからなのでしょう。 と、まあ、さすがにわたしも少しくらいは鍛えられて大人な対応ができるようになっているのだろうと思っていた矢先でしたから、自分に少々がっかりしています。これからまた、こういうことがあるのかないのかわかりませんが、にっこりわらって避けることができるくらいに大人にならなければ。もういいかげん、いい年なんですから。
|