書泉シランデの日記

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妖怪出没?!
2006年06月04日(日)

昼下がりの空いた電車。
しばしまどろんだ私の隣に痩せた老婦人が座る。
と、まもなく、
「すいません、包帯巻いてもらえます?ゆるんじゃったので」と差し出す親指。
いまどき珍しい昔ながらの包帯が巻いてある。(伸縮しない包帯で、端をふたまたに切って結ぶスタイル)

「きつく結んでくださいね」
内心、こんな包帯久しく巻いたことないで〜と思い、しかも「きつく」っていわれてもな〜と思いつつ、普通に片蝶結びをした。

「あの、これから整体に行くんですが、ちょっと力を貸して下さい、背中をさすってください」
え〜なに、それ、と思うけれど、断るわけにもいかない。
戸惑いながら背骨にそって片手でさすると
「もっと強く両手でお願いします」

やはり断るわけにはいかない。
何の因果でと思いながら、体の向きを変えて両手でさする。次の駅に着くが、もういいとも言われないのでさすり続ける。私の降りる駅まではまだ3つもある(泣)。

「腰も痛いんで、下のほうも」

ここで止められるか?止められないでしょ。

この老婦人を挟んで反対側の隣に座っていた人が
「奥さん、お知り合い?」
と私に目配せしながら小声で声をかけた。
首を振って「違います」のサインを送る。

この奥さんが老婦人に声をかけたら、
「あ、肩もんでくださいな」
で、奥さんは立ち上がって、老婦人の前方から肩もみを始めた。
私は後ろで腰をさすったり、背骨をさすったり、指示のままに肩甲骨の下をさすったり・・・
断っておくけれど、息も絶え絶えの老婦人ってわけではなく、みたところ、ピクニック帰りかと思うような姿なのです。

一体何が起こっているんだ?とキツネにつままれたような気分である。私自身の日ごろの主張としては、「みんな、もっと気軽に人にものを頼もう」というのがあるのだが、これって車内の見知らぬ人間に頼むようなことか?!

かくして10分ほど経ち、あ〜もうちょっとの辛抱だ、と思ったところで、老婦人、
「あ、降りますから」とすたすた(まさにすたすた)歩いて降りていった。
一応御礼は言ってくださったけれど、途中から参加した奥さんともども「何だったんでしょうねえ・・・」

はい、何だったんでしょうねえ。
長年電車に乗る暮らしをしていますが、こんな不思議な体験は初めてでした。まるで山の中で妖怪に出会ったような思いです。

****

私はなぜ適当なところで逃げ出せなかったのでしょう?

もしこれがおじいさんだったらどうするのがいいのでしょう?

もし身なりの不潔な人だったらどうするのがいいのでしょう?

世の中、いろいろ変わった人がいるもんです・・・




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