書泉シランデの日記

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ヒラリー・ハーン
2006年06月07日(水)

ヒラリー・ハーンvnを聞いた@トッパン・ホール。
ハーンは去年も聞いたが、それがとてもよかったので、今年は是非室内楽専用のホールで聞こうと思ったのである。出し物はオペラ・シティでやるのと変わらないけれど、トッパンとオペラ・シティじゃ舞台との一体感が大違い。

イザイ無伴奏の1番に始まり、エネスクのソナタ3番、ミルシテインのパガニーニアーナと難曲が続き、モーツァルトK.301でほっと一息、最後がベートーヴェンの3番という出し物。

イザイはとても滑らかな曲の運びで、普段カヴァコスのCDで聞いている私には同じ曲かと耳を疑ってしまうほど。カヴァコスの野太いのもそれはそれで魅力だけれど、女の人らしいイザイもまた素敵だ。

パガニーニアーナのような曲に普段心ひかれることはないのだが、今日のパガニーニアーナは技巧だけが際立つことなく、「あら、これってこんなきれいな曲だったっけ?」だった。技巧を聞かせるためにひいちゃいけない曲なんだと知った。(それなのに、テクニック披露のために使われがちな曲だ。)

モーツァルトは平凡だった、と同行者が漏らしたが、私は奇をてらわないいいモーツァルトだったと思った。ベートーヴェンはもともとそう好きでもないから、特にいれてくれなくてもよかったような・・・。

アンコールの「3つのオレンジの恋」のマーチ、よかった。

久しぶりのヴァイオリン・コンサートでかなり癒された。浮世を忘れるからいいんだわね。

ハーンの演奏は、当たり前だがハーンの音色で、感情過多にならず、それでいてメロディーを響かせるよくコントロールされた演奏である。これみよがしの技巧もなければ、コブシをきかせた自己陶酔もない。だけど申し分なくうまくて大満足。

ピアニストは昨年とことなり、韓国系の若い女性。悪くはないんだけれど、鍵盤に指をのせた途端に、百面相が始まる。ハーン自身はほとんど演奏中に表情を変えない。私は演奏中に不自然なほど腕を振り上げたり、顔をしかめたりするのは好みではないので、ハーンは実に端正で美しくてよろしい(美人ではないけど)。それなのに伴奏者は激しい百面相で何とも気が散った。

サラ・チャンとかチョン・キョンファと組んだら、えらいこっちゃね、と思ってしまった。子どものときのレッスンで、一つ一つの音にこめられた気持ちを考えて顔に表情を、とでもしつけられるのかしら。



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