書泉シランデの日記

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女王様のコンサート
2006年06月16日(金)

最近、へばっているので、更新が間遠です。
へばっていると、日々過ごすのが精一杯で、独り言に値するほどの発見も出会いもなくなりがちです。電車に乗って座れば即、爆睡だし。

そうはいうものの、何ヶ月も前に買ったチケットは容赦なく、おらおら、行かんかい、と呼びかけてきます。

で、女王様を聴きに行きました。

ヴァイオリンの世界で女王様といえば、この人しかいません。
ムターです。モーツァルトのソナタばかり5曲というプログラムはちょっと飽きそうでしたが、チケットのお値段が立派だった(ハーンの倍)ので、捨てるほどの度胸もなく、やっぱり行きました。

女王様、マーメイド風のロングドレスで、なんとも悩ましいお姿。天は2物を与えておられます。音楽の才だけで十分舞台に立てるし、天性の美貌も伴うし、2人目のダンナも来たのだから、なにも衣装なんか凝ることないじゃない、それじゃあ足元が不自由なんじゃないの、地震があったら逃げ遅れるわよ、と老婆心は留まるところを知らぬほど、今日のドレスはタイトで、腰から膝までぴっちり体に密着したドレスです。膝から下は魚の尾びれよろしく広がっています。(生地は多少ストレッチ性があるんだろうなあ・・・)

で、演奏中は腰から下がくねるのくねらないのって、くねくねくねる!
人魚というのは妖しいもんだったんだ、と今更ながら性の深遠を見た思い。伴奏のオジサンにしなだれかかるようにさえ見える。女王様ともなれば、そんな馬鹿なことするはずないんだけど、演出効果満点!計測不能。

そうそう、肝心な演奏そのものですが、女王様、今晩のところは万全の出来ではありますまいよ。私のザル耳にも若干疵が聞こえましたぜ。

モーツァルトの仕立てそのものもあんまり私の好みとは一致せず、2曲目くらいから、ムターは1回聞けばいいや、みたいな気分で聞いてしまいました。でも隣の席のあんちゃんは熱狂的拍手をしていましたから、好みの問題でしょう、きっと。私としてはもっときれいな音で聞かせて欲しかった。ダイナミックといえばダイナミックだけれど、あざとい印象。かすかす音は計算の上なんだろうけど、objection!

CDで聞いた新しい録音のコンチェルトはすごくいい感じだったのに、生演奏のソナタがそれに及ばずってのは残念。 だけどもちろん、随所にあ〜きれいっていうフレーズはあるんですよ。

さて、女王様のお供、伴奏者は素晴らしかったです。この人にハーンの伴奏をしてもらったらどれほどいいでしょう!(女王様がさせてくれないだろうな。)あのエレガントな音色、自然な音の運び、ヴァイオリンを潰さない音量、ランバート・オルキスさんという名前、しかと心に刻みました。



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