綿霧岩
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「け」の表面は固いです。 なので、「け」の通った所には、跡がはっきりついています。 地面が削れていたり、えぐれていたり、木の枝が折れていたり、果実から汁が出ていたりします。 さらに、そういう自然豊かな場所では、「け」は普通に歩いたりはしません。 どういうわけか、ぴょんぴょん飛んだり、またはずっと着地したまま一本の線を引くように前進します。
そんな「け」を、ちょっと怖いと思う者もいるでしょう。 怖い以前に、とても固いので危険視されることもあります。
「け」から始まる言葉は 「けんさ」「けんこう」「けが」「けいと」「けーき」「けみかる」「けう」「けんか」「けし」「けつえき」 などなど。
なんとなく不穏な雰囲気がある「け」ですが、 「け」の中身が実はとてもやわらかいことをお伝えしておかなければならないでしょう。
そう、「け」には中身があります。 それもとても柔軟で、感じやすく、決まった形のない中身です。
また「け」は、都会のオフィスの中や街の人通りの中では、どういうわけか非常にスムーズに移動します。 どこにも、だれにもぶつからず、床を削ることもなく、音もたてずに静かに移動するのです。
一体どうして、自然の中と都会の中で、「け」は変わるのでしょう?
これは憶測にすぎませんが、もしかしたら、「け」は自分でも自分の気持ちを持て余してしまう思春期の人間のような状態なのかもしれません。
しかしきちんとしたデータではないので、確かなことは言えません。 「け」については、まだまだ解明されていないことが多いのです。
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