回り道のついでに
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寂しいのだろうか。 ふと、そんなふうにネコは思った。 大きい犬は寂しくてあたしを抱くのだろうか。 あたしはどうだろう。
一目見て、ネコは大きい犬に興味を持った。大きい犬の逞しい身体は猫にはない魅力だった。ネコは自分から相手のテリトリーに入った。
あたしは何故、あの犬を選んだんだろう。
ネコは相手を深く知るのが怖かった。そして相手に深く知られるのはそれ以上にもっと怖かった。この犬に捉まってしまったら、二度と木には登れなくなる。爪を失う。ネコには予感があった。 何もなくても、大きい犬はあたしを抱いたかもしれない。本来犬にはそうした性質がある。そんなことも知らないほどあたしは子供ではない。
一番最初に ごめんね と言った。 大きい犬はずるい。
お前なんか相手にはしない、と釘をさしておいて、それでも優しくネコを温めた。
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