川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
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2005年08月30日(火) がんばってたよ・・・。

 びっくりするくらい、日記を書いてない。
 このところなんだか目が疲れて、パソコンにむかうとチカチカするので、
 なんとなく億劫だったり、
 それから、まあ色々ばたばたしているうちに、
 2ヶ月もほっぽってしまって、ありゃりゃ・・・。

 ざっと駆け足で、ぐるぐるしてみると・・・・

 6月の博多座の千秋楽、助六は「濃い」舞台で、
 海老蔵は、いとおしむようにたっぷりと助六してた。
 そしてさっきまで、あんなに濃厚な舞台をつとめ終えたばかりだというのに、
 見事な早業でザックリ着替えを済ませ、羽田行きの最終便に乗り込む一座の皆さん。
 楽屋口のファンのお見送りも熱く、
 その隅っこで、なんだかぼーっと見守ってしまった次第。

 さて7月。
 これはまず、菊ちゃんの十二夜。
 菊ちゃんと蜷川さんに、もうちょっと作り込む時間をあげたかった気がしたけれど、
 それでも新しい試みを、あの清潔な笑顔で頑張りとおした菊ちゃんに乾杯。
 
 大人計画の「キレイ!」を観て、
 ケガレ役のランランがとっても気持ちよさそうだった。

 海老蔵の巡業も、あちこちで3度観た。
 2003年12月、私が魂を奪われた新之助実盛は、
 2005年、落ち着きと貫禄を増し、ちょっと渋い海老蔵実盛となって帰ってきた。
 あの清冽で若くひたむきな実盛が、もういないのは寂しかったが、
 こうやって、演じる本人も、その役も、観てる側も、年を重ねていくのだろう。
 團パパは、ちょっと足許が力無く、パパやっぱり巡業は辛いのかも?と思ったり、
 ポツポツと一週間おきくらいに見ていると、
 その都度ちょっとづつ痩せてるように見えた。
 誰かが「大丈夫かなあ?」と心配の声をあげると、
 「きっと疲れてるんだろうけど、大丈夫さ〜」といい、
 誰かが「なんか痩せたね・・・」と、また不安な声を出すと、
 「スッキリしてハンサムに戻ったんだよ」と励ます、
 私のまわりの成田屋な友達の間では、そんな会話が交わされていた、
 7月の巡業東コース。

 そして7月のラストには京都の比叡山へ。
 何度行っても京都は素敵。
 だけど、今回は同行の友達のおかげで、
 さらにスペシャルな旅になったし、
 比叡山歌舞伎も素晴らしかったし、
 山から眺める琵琶湖の夜景がキラキラまたたいて、
 ああ、行ってよかったありがとうな旅だった。

 駆け足で書いても、我ながらよくまああちこち飛び回って、
 日記が書けなかったのも、納得してしまう。
 

 ようやく8月。
 お盆の休みは、実家で親孝行(?)し、
 演舞場で「もとの黙阿弥」をみて、歌舞伎じゃない舞台も、たまに見るといいなと思い、
 納涼歌舞伎の法界坊で、納涼パワー中村屋パワーに笑い、
 この日は津川雅彦さんと米倉涼子さんも観劇しており、
 本当に、よくお会いしますねと、心の中で思う。
 
 恵比寿のジョエル・ロブションで行われたジャッキーこと雀右衛門さんのお誕生会、
 ワインが美味しくて、
 立食ではあったけれど、
 どれも本格的なフレンチを小さく可愛らしく盛りつけたお皿の数々に舌鼓。
 そしてジャッキーは、85歳とは思えぬお元気ぶりで、
 優しい笑顔で、力強く握手してくださって、わ〜感激。
 また京屋さんのご贔屓の方々が、なんとなくおっとりと優しくて、
 私みたいな友達のオマケみたいな参加者にまで、皆さんにっこりと、
 こんなアットホームな雰囲気ですから、また是非参加してくださいね〜と声をかけてくださって、
 幸せな時間であった。

 それからひどい夏風邪をひいて、納涼の一部と二部は見逃して、残念無念。
 
 風邪でフラフラしつつ、仕事を終えた先週の土曜、
 友達からのメールで、團パパが白血病再発の疑いで半年休業と知る。
 それを聞いてさらに風邪が悪化し、週末はフラフラうつうつじめじめと過ごす。
 
 これではイカン!と思い、月曜の昼休みに抜け出して病院へ。
 パリから帰って、風邪でダウンしたときにもお世話になった小児科だ。
 クマのプーさんであふれかえった乳児用のベッドが気持ちよさそうだが、
 横目で眺めつつ、ちっちゃな手に包帯してる小僧の隣で、待つ。
 先生に笑われつつ、こないだと同じクスリ出しておくねと言われる。

 このクスリがとても効いてくれて、
 明けて火曜、どうやら出かけられそうだ。
 今日は海老蔵巡業西コースの初日だ。
 パパは昨日から入院したらしい。

 かぶりつき方面の席だったせいか、何度も見た演目なのにビンビンくる。
 実盛も気迫がこもっている。
 小万の腕を切り落とすくだり、舟の上の情景が見えた気がしたし、
 若君誕生のくだり、ぱ〜っと喜びのオーラが広がって 
 新たな武将実盛の魅力に、心動かされた。

 口上は、舞台上にたった4人・・・。
 これまで團パパやジャッキーがいつも仕切って、
 「これにひかえおりまする新之助改め〜」と紹介(?)されてきたところも、
 海老蔵が自分で言ってた。
 でも、家橘さんやジュッチーの口上は、寂しくならないように、
 楽しい方向でお話していたし、
 俯いて聞いている海老蔵も、ちょっとニヤリとしてたりして、
 しめっぽくならないように心がけてるのかな・・・と思う。
 パパの口上の、短いなかにも愛嬌のある大らかな空気、
 海老蔵はちょっと早口だったとはいえ、充分受け継いで、しっかりつとめていた。
 それでもやっぱり「團十郎もおわすれなく」などと言われると寂しくて、
 心配で、海老の頑張りにも心動かされて、
 うるうるるる・・・。

 巡業バージョンの「お祭り」は、もともと短い演目だったが、
 右之助さんと家橘さんが芸者、ジュッチーが若い者で登場、海老蔵が鳶頭。
 かしらと呼ぶには、若々しすぎるけれど、
 でも鳶頭姿、似合ってた。
 そして、こうして同じ衣装をつけると、海老蔵はなんて團パパに似てるんだろう!
 首のかしげ方、目線の配り方、パパそっくり。
 
 お決まりとはいえ「待ってました!」の声がかかると、
 「待ってました?」とちょっと苦笑いで問い返し、
 「待っていたとはありがてえ!」と受ける海老蔵。いいぞ、よくやったと思う。
 パパの不在を、海老だけじゃなく右之助さん家橘さん市蔵さん、みんなでカバーしてる空気が
 じんわりと泣けてくる。
 沢山の声がかかる中、短い「お祭り」も幕。

 大変ではあろうけれども、きっと無事に西コースも頑張り通してほしいと願いつつ、
 会場を後に。

 帰宅すると、HPにパパのコメントが・・・。
 なんだかパパらしくて、またもやじんわり。

 そうして、もう8月も終わるのだ。


 

 この日記も、一段落させて、
 もう少し、気軽にサクッと何か出来ないかな?と考え中。
 
 日記の「海老蔵への道」というサブタイトルも、
 今日の海老蔵さんを見ていたら、「への道」はもう必要なくて、
 すっかり立派な海老蔵になってしまっていたことだなあ・・・と思う。

 

 また何か、新たなカタチが見つかったら、ご報告します。
 それまで、たまに画像日記だけでも、のぞいてやってください。
 私はかわらず、劇場でうるうるしたり、うとうとしたり、きゃいきゃいしたりして、
 過ごすと思われます。



 






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