鋭い円柱形の芝生を歩いているような、夏は終わっていた。 何にも気付かない振りをして、お仕事と遊びに明け暮れたよ。 だけど8月の終わりの頃から、どうしても駄目なんだ。 遊びもお仕事も。 理解のある店長は「休みも時間もたくさん取ったって構わないんだから、お前のペースでシフトを取れ」と言ってくれる。 あたしは言葉に甘えてしまう。 迷惑だってかかってしまう。 あぁ、駄目だ。 遊びはどうでもいい、お仕事をちゃんとしなければ。 お薬はよく効くよ。 永遠に眠っていまいそうな勢いで、よく効く。 最近は友達と同じ病院へ行く。 お仕事仲間で行くと少しは気がラクだ。 みんな色んな境遇で生きてきた、そのなかで4つ年上の友達はしたたかで好きだ。 おねえちゃんみたいに心配してくれる。 あたしのことを好きだと言ってくれる。(勿論、気に入っている、の意味で。) 素直でしたたかで物知りで白黒ハッキリしていて、とても尊敬しているよ。 とても素敵なお姉様です。 年下組には、妹みたいな危なっかしくよくはしゃぐの1人(でもクール)、歳の割にしっかりしてるのが1人(でもすぐ泣く。笑)、付き合いの長いタメのちょっとおかしなのが1人。 それにあたしを含めた5人、お店の問題児たち(笑。 店長やボーイさん達にイタズラばっかりしてるから、きっと凄く目を付けられてると思うよ。 そんな仲間がいる夏だった。
夜の生活だったから、花が咲いて枯れるまでをあまり見届けられなかった。 最後は庭先に咲いていた山百合の、雄蕊になった姿だけ。 なつこいし秋のはじめ。 8月の21日、横浜から帰ってきたら宇都宮の夜はすっかり涼しくなっていた。 泣きそうだったよ。 ちゃんと現実を見据えている筈なのに、断片的に目に映るいつかのなつのおわり。 嵐の中の静けさ。 どれだけ周りが騒がしくてもひとり自分の中に耳と目を向けて、縁側で夜だけ見ていた頃、 身に付いた静けさは今でも、周りとあたしに温度差をもたらしている。 なにやってんだろう、と冷静に戻り、呼吸を止めそうな自分。 うっかりしていたら暴れだしそうなあたしの中のもうひとりが、時々声を漏らす。 空はうずまき、秋雨の明日。
|